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移動スーパーの開業は儲からない?平均年収や開業資金・失敗例を解説
移動スーパーは、高齢化した地域で需要のあるビジネスの1つです。では、移動スーパーが上手くいくためにはどのように運営すればいいのでしょうか。
この記事では、移動スーパーの年収や開業資金、失敗しないためのコツについて解説します。また、「とくし丸」という移動スーパーがどのようなビジネスなのかも紹介します。
この記事の目次
移動スーパーの需要が高まっている
移動スーパーとは、食品や生活必需品を移動車両で販売する新しい形態の小売業態です。
移動スーパーは、特に地方や高齢者の多い地域において、便益をもたらします。地方などで買い物難民と言われる人々は700万人以上いると言われています。
これらの地域では、通常のスーパーマーケットまでの距離が遠いことがあり、高齢者や移動が難しい人々にとって、食材や必需品の調達が難しいです。移動スーパーは、これらの地域において、生活の質を向上させます。
また、移動スーパーは地域や人とのつながりを感じることができます。定期的にスーパーの人が訪れることで、コミュニケーションを図ることができ、孤立感を軽減できるでしょう。
このように、地方で移動スーパーなしでは生活が苦しい人や人との繋がりを感じていたい人にとっては、とても優良なサービスです。
高齢化がこれからも進んでいくことを考えると需要は充分あると考えられます。
移動スーパーは儲からない?開業後の平均年収は?
移動スーパーの収益性は、いくつかの要因に左右されます。
- 移動スーパーが訪れる地域やコミュニティの需要が大きいほど、売上高が増加しやすくなります。需要が高い場所を選ぶことが収益を向上させるカギです。
- 提供する商品の種類や価格設定が重要です。多様な商品を提供し、競合と差別化を図ることで、売上を増やすことができます。
- 運転コスト、車両の維持費、スタッフの給与など、運営にかかるコストを最小限に抑えることが収益性の向上につながります。
- 顧客とのコミュニケーションや販促活動を通じて、お互いの信頼度を高め、リピーターを増やすことが収益を上げるために重要です。
では、移動スーパーの開業者の平均年収はどのくらいなのでしょうか?
この業界の「とくし丸」の収益シミュレーションを見てみましょう。
1年以上の経験があり週6日以上働いた方の平均は、月給474,500円となっています。これを年収に直すと569万円です。そこから諸経費などが月12万円程度引かれます。
ただ、こちらはあくまで目安となっており、開業地域やその月や年によっても変わります。
移動スーパーの開業に必要な資金
移動スーパーを開業する場合、様々な費用がかかります。以下で詳しく見ていきます。
移動スーパーの開業資金
移動スーパーの開業費用の平均は、350~400万円必要です。
具体的にどのような項目で費用がかかるのか、以下で見ていきます。
- 車両購入費・改造費
- 設備購入費
- 仕入れ費
- 資格取得費
- 広告費
- 出店料
この中でも車両購入費が大きな割合を占めています。特に新品を購入すると料金が高くなるので、中古品を購入するか、リースなどもおすすめです。
設備費用も販売する商品によっても変わりますが、冷蔵・冷凍するケースや照明、手洗い場などが必要です。メーカーや種類によっても価格は異なります。
移動スーパーの運営資金
移動スーパーの運営費は、10~20万円必要です。これは、車両費の月々の支払い、ガソリン代、保険代、仕入れ費などがかかります。
開業地域や営業日数によっても異なりますので、自分の営業スタイルに合わせてシミュレーションしておきましょう。
例えば、車両は燃費がいい車を選ぶ、保険も必要最低限にする、仕入れ管理をしっかり行うなど工夫することが必要です。
また、開業当初は売り上げが上がらないことを予想して、半年分ほどの運営費を用意しておくことが重要です。
移動スーパーの開業資金の調達方法
移動スーパーを開業するのに費用がたくさん必要です。自分で用意するのが難しい方のほうが多いと思いますので、以下の3つの方法を紹介します。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資…借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資…保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
「新創業融資制度」…新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
「新規開業資金」…新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
例えば、以下のような補助金があります。
- 福岡県「福岡県移動スーパー参入促進費補助金」
- 宮崎県「中山間地域移動スーパー等導入支援事業補助金」
他の地域でも補助金があるので、各自治体に確認してみてください。
メリット
補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット
補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
移動スーパーの開業に必要な資格
移動スーパーを開業するためには、様々な資格や許可を得る必要があります。以下でそれらの用語の解説をします。
食料品衛生責任者
飲食店に1人以上は在籍していないといけない国家資格です。オーナーが自分で取得するか、従業員に取ってもらうか、資格保有者を雇うことが必要です。
各都道府県で行われている講習を受講終了して、保健所に申請することで資格を取得できます。または、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している方は、保健所に申請するだけで大丈夫です。
営業許可・出店場所の許可
自治体ごとの保健所から営業許可の取得が必要です。営業許可を取得していないと出店ができないので、あらかじめ出店エリアを決めておきましょう。
また、出店場所での許可も必要になるので、所有者に連絡して許可を得ましょう。
移動スーパーを開業するための準備や手順
移動スーパーの開業は、成功に向けて計画的な準備と具体的なステップが必要です。ここでは、移動スーパーを開業するための準備や手順を初心者にもわかりやすく解説します。
コンセプトや事業計画を決める
まず最初に、自分の移動スーパーのコンセプトや事業計画を明確にしましょう。
どの地域に提供するのか、提供する商品は何か、価格設定はどうするか、顧客層は誰かなどを考えて決めることが重要です。
このステップを踏むことで、資金計画や今後の事業方針が明確になっていきます。
開業資金を準備する
開業には資金が必要です。開業資金は車両の購入や改造、商品の仕入れ、設備購入費などに使われます。
一般的には350万円~400万円程度が必要と言われています。資金調達方法は金融機関や日本政策金融国庫からの融資、自治体の補助金などがあり、返済計画などをしっかり行うことが大切です。
出店場所や競合調査を行う
出店場所の選定は非常に重要です。需要が高い地域を見つけ、競合相手を調査しましょう。
競合が少ない場所やニーズの高い地域が開業の成功につながります。また、販売ルートをあらかじめ決めておくことも必要です。
道路状況や規制を行っている地域などを考えておくことで、効率的に回ることができます。
仕入れ先を決める
商品をどこから仕入れるかも重要です。商品の品質や価格を比較して、信頼できる仕入れ先を見つけましょう。
また、長期的に良好な関係を続けることも大切です。関係性があることで、急なトラブルや対応に応じてくれることもあります。
先程紹介した「とくし丸」で開業する場合は、仕入れ先も用意してくれるので、自分で一から準備する必要はありません。
車両の改造や設備の準備を行う
移動スーパーは車両で顧客に商品を提供します。適切な車両を選び、改造や設備の準備を行う必要があります。
車両は、軽トラックや軽バンを改造して使用する人が多いです。車両は商品を運び、陳列するための重要な要素なので、利便性と予算のバランスを考えて使いやすいものに仕上げましょう。
資格取得や営業許可申請を行う
移動スーパーを運営するには、必要な資格や営業許可が必要な場合があります。必要な資格は、食品衛生責任者です。
食品衛生責任者は、飲食店に1人以上は在籍していないといけない国家資格です。オーナーが自分で取得するか、従業員に取ってもらうか、資格保有者を雇うことが必要です。
各都道府県で行われている講習を受講終了して、保健所に申請することで資格を取得できます。または、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している方は、保健所に申請するだけで大丈夫です。
他にも、保健所の営業許可や販売エリアの許可も必要です。保健所や所有者に連絡しましょう。
また、保険に加入することも重要です。車両保険、PL保険、事業保険など必要な保険に加入して、長期的に事業を続けていけるようにしましょう。
集客を行う
最後に、集客を行うことも重要です。広告や宣伝、地域コミュニティとの協力を通じて顧客を獲得し、移動スーパーの存在を知ってもらいましょう。
地域の人が集まる場所にチラシを置いたり、直接ポストに配布することが効果的です。移動スーパーで事業を行う地域では、WEB広告やSNSを活用した宣伝は上手くいかないこともあります。
それは、スマホやPCのたくさんの機能をあまり使わない方が多いからです。それよりも、口コミなどを上手く活用することで集客が上手くいくことが多いです。
移動スーパー開業で失敗しないためのコツ
移動スーパーの開業は魅力的なビジネスですが、成功には注意と戦略が必要です。ここでは、移動スーパーを開業する際に失敗しないためのコツを初心者にもわかりやすく解説します。
開業エリアの特性やニーズを把握する
開業エリアを選ぶ際に、その地域の特性やニーズを把握することが重要です。
地域ごとに異なる需要や好みがあるため、顧客層や商品の選定に関する情報を収集しましょう。また、競合店が既にいる場合は、提供する商品を変えたり、差別化を図る必要があります。
さらに、気候状況や地域の販売エリアの規制も考慮しないといけなく、そのためには自治体との協力も不可欠です。
可能なサービスを明確にしておく
移動スーパーの提供サービスを明確に定義しましょう。
どの商品を提供するのか、営業時間は何か、配達サービスを行うのかなどを詳細に決めることが必要です。
ここで注意しないといけないのが、全員の意見や要望には応えることはできないということです。例えば、「この商品を販売してほしい」「この時間に営業してほしい」などの要望が出てくるかもしれません。
しかし、全員の要望を聞いていると自分の事業に悪影響が出てくることもあるので、断るべきことはしっかり断ることも必要です。
収益を最大化するための管理をしっかり行う
収益を最大化するためには、適切な管理が欠かせません。
データ分析を行い需要を予測して、商品の仕入れコストを最小限に抑え、在庫の効果的な管理を行いましょう。また、効率的なルート設定、運営コストの削減も必要です。
商品の価格設定や季節ごとの商品販売など販売方法を工夫して、利益を確保することも大事です。日々の販売でお客様の購買率や利益率を把握して、お客様満足度と利益のバランスを取りましょう。
移動スーパー開業の成功事例
移動スーパーの成功事例の1つに、フランチャイズのスーパーである「とくし丸」があります。
全国で1,000台以上稼働しているおり、スーパーの商品の販売だけでなく、ご年配の方の自宅を巡回して様子を見に行くこともしています。地域密着型の移動スーパーのモデルにしたことで成功しているビジネスです。
スーパーから直接仕入れて移動販売を行い、余った場合はスーパーに返す仕組みを導入しているので、食品ロスがありません。
移動スーパーで販売する商品は通常スーパーで買うよりも10円高く設定していることで、事業者とスーパーの両方の利益となるのも大きな魅力の1つです。
移動スーパー開業の失敗事例
移動スーパーを開業するときによくある失敗例を2つ紹介します。
1つ目は出店場所を確保できないことです。先ほども紹介したように、出店する際には営業許可が必要です。エリアによっては自分が出店したい場所では認められないケースもあるので、早めに確認しておきましょう。
2つめは、ニーズの少ない商品を販売することです。移動販売であればなんでもニーズがあるわけではなく、その地域の方々が欲しがっているものを販売することが大事です。
移動販売ビジネスのおすすめフランチャイズ
高齢化社会で移動販売ビジネスの需要が増えています。移動販売には様々なフランチャイズが存在するので、いくつか紹介していきます。
移動スーパーはじ丸
100万円~開業が可能なフランチャイズなので、低資金で始めたい方にはおすすめです。
提携スーパー以外からも仕入れができ、オーナー自ら販売価格を設定でき、自由度が高いことも大きな特徴です。2週間の無料研修、助成金申請会社の紹介などサポートもしっかりしており、初めての方でも安心して開業できます。
高齢者配食サービス 「ライフデリ」
ライフデリは、栄養バランスと美味しさの両方が考えられた食事を高齢者宅まで届ける配食ビジネスです。
加盟金・保証金・ロイヤリティが全て無料なので、開業時や運営費を削減できます。調理された食材を湯煎して盛り付けるだけの簡単な工程のため、調理経験や専門的な資格がない方でも安心です。
定期的な販促サポートや売上の分析・レポートなどサポートもしっかりしており初めての方にも安心です。
なないろ弁当
なないろ弁当は、バランスを考えられた健康的なお弁当を配達するビジネスです。
管理栄養士が監修しているという特徴があります。調理された食材を厨房施設で盛り付け、お弁当を配達するだけなので、新たに物件を借りる必要がなく、5万円から開業できます。
営業は自分で行う必要がなくサポートしてくれて、屋号も自由に決定できことも魅力の1つです。
まとめ
本記事では、移動スーパーの開業について詳しく解説しました。
移動スーパーは高齢化した地域で活躍するビジネスで、需要もあります。しかし、運営方法によっては労働時間が長く、思うように収益が上がらないこともあるので、しっかりと計画を立てることが重要です。
移動スーパーを開業するための準備や手順
・コンセプトや事業計画を決める
・開業資金を準備する
・出店場所や競合調査を行う
・仕入れ先を決める
・車両の改造や設備の準備を行う
・資格取得や営業許可申請を行う
・集客を行う
移動スーパー開業で失敗しないためのコツ
・開業エリアの特性やニーズを把握する
・可能なサービスを明確にしておく
・収益を最大化するための管理をしっかり行う
詳細は本文で解説しているので、移動スーパーで開業したい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。