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独立・開業

蕎麦屋の開業は儲かる?よくある失敗例や年収・開業資金について解説

蕎麦屋の開業は儲かる?よくある失敗例や年収・開業資金について解説

蕎麦屋は、需要が安定しているので、経営が安定しやすいビジネスです。しかし、経営する中で失敗することもあります。

この記事では、蕎麦屋の失敗例、開業資金、資格、成功の秘訣について解説します。これから蕎麦屋を始めたい方は参考にしてください。

蕎麦屋を開業する2つの方法

蕎麦屋を開業する際には、2つの主要な選択肢があります。一つは個人での開業、もう一つはフランチャイズで開業する方法です。

どちらもメリット・デメリットがあり、成功するためにはそれぞれの特徴を理解し、戦略的に選択することが必要です。

個人で蕎麦屋を開業する

個人での蕎麦屋開業のメリットは、自身のアイデアやビジョンを自分で決めることができる点です。

例えば、「近所の人が毎日訪れたいような店」「デートにピッタリな和装な店」などコンセプトや内装・メニューを自由に決めることができます。

一方、すべての責任にあることがデメリットです。お客様が来なくて売上が上がらなくてもスタッフの給料を払う必要があります。また、スタッフの採用や教育、仕入れも自分で行うことが必要です。

フランチャイズで蕎麦屋を開業する

フランチャイズでの開業のメリットは、既に確立されたビジネスモデルやブランド力を利用できることです。

これにより、開業初期からの安定感が期待できます。また、本部からのトレーニングやサポートがあるため、初心者でも安心して始めることができます。

一方で、フランチャイズは本部の指示に基づいて運営されるため、独自性が制約されることがデメリットです。そのため、自分のアイデアやこだわりを全面的に反映させることは難しいかもしれません。

蕎麦屋の開業・経営は儲かる?平均年収はどれくらい?

蕎麦屋を開業した場合の平均年収は、350~450万円前後です。

店舗規模やコンセプトによって異なりますが、国民の平均年収よりやや下回るような金額です。

蕎麦屋は、単品でのメニューだと単価が1,000円以下で収まることが多く、セットメニューを提供することで単価を上げる必要があります。また、アルコールの提供を行うことも単価を上げるための方法の1つです。

以下で、収入シミュレーションをしていきます。

オーナーの利益を蕎麦1杯で計算すると、25%ほどです。つまり、蕎麦が800円とした場合、200円がオーナーの利益です。

以下が、運営するのにかかる目安金額の割合です。

項目 割合
人件費 30%
材料費 10~20%
賃料 10%
水道光熱費 5%
備品等 10%
広告費 0~10%

蕎麦屋に必要な開業資金

蕎麦屋の開業資金は、1,000~1,500万円かかると言われています。

以下で、開業資金の内訳を記載します。

項目 金額
物件取得費 300~500万円
内装工事費 300~800万円
設備費 100~500万円
備品費 50~100万円
宣伝広告費 0~50万円

物件取得費は、およそ家賃の10か月分です。上記は、家賃が30~50万円の店舗で仮定しています。

内装工事費は、1坪当たり30~50万円が相場です。上記は10~15坪の店舗で仮定しています。もし、内装工事費を安く済ましたい場合、居ぬき物件を契約しましょう。坪数と家賃は立地などによって変わるので、あくまでも目安です。

蕎麦屋の設備費は、製麺機を導入するかによって大きく変わります。製麺機は数百万円するので、予算に合うかどうかしっかり考えましょう。

備品費は、レジ機器や机、ユニフォーム、いす、お皿、お箸など様々です。

広告宣伝費は、SNSなどを上手く活用すると少額で集客もできます。HPを作るとなると、数十万円かかるでしょう。

蕎麦屋の開業に必要な資金調達方法

資金調達

蕎麦屋を開業するのに資金調達を行う必要があります。以下でその方法を4つ紹介します。

金融機関からの融資

多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。

しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。

信用保証付き融資

借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。

プロパー融資

保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい

金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。

日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。

新創業融資制度

新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度

新規開業資金

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度

上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。

創業補助金・助成金の活用

一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。

メリット

補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。

デメリット

補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。

制度融資を活用する

地方自治体・民間金融機関・信用保証協会の3機関が連携して提供している融資制度です。

融資金額や利息は自治体などによって異なりますが、利息が低く、長期間借り入れできることが特徴です。ただ、審査に時間がかかりやすいので、時間に余裕をもっておきましょう。

蕎麦屋の開業・経営に必要な資格や許可

蕎麦屋を開業するためには、様々な資格や許可を得る必要があります。以下でそれらの用語の解説をします。

食料品衛生責任者

飲食店に1人以上は在籍していないといけない国家資格です。オーナーが自分で取得するか、従業員に取ってもらうか、資格保有者を雇うことが必要です。

各都道府県で行われている講習を受講終了して、保健所に申請することで資格を取得できます。または、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している方は、保健所に申請するだけで大丈夫です。

飲食店営業許可

飲食店を営業するためには、飲食店営業許可を保健所に申請する必要があります。

申請の前に食品衛生責任者を取得しておかないといけませんので、早めに準備しておきましょう。

申請後、間取りや立ち入り検査等での審査が通れば、無事許可証が交付されます。

防火管理者

収容人数が30人以上の規模の飲食店を開業するときにのみ、防火管理者を設置しないといけません。従業員を含めた人数です。

施設の延べ面積が300㎡以上の場合、甲種防火管理者(2日間で約10時間で8,000円の講習)の資格が必要です。逆に、施設の延べ面積が300㎡未満の場合、乙種防火管理者(1日約5時間で7,000円の講習)の資格が必要です。

開業届

蕎麦屋の開業にあたっては、地元の自治体に対して、開業後1か月以内に開業届を提出する必要があります。

また、青色申告承認申請書を提出することで、税制上の優遇を受けることが可能です。

蕎麦屋を開業する流れや準備

蕎麦屋を開業するには、計画的な準備が必要です。初心者でも理解しやすいように、以下にその基本的な手順を解説します。

コンセプトやメニューを決める

まず初めに、蕎麦屋をどのようなコンセプトで展開するかを考えましょう。

コンセプトはお店の個性を表し、他店との差別化ができます。例えば、伝統的な日本の蕎麦を提供する、独自のアレンジを加えた蕎麦を提供するなど、集客しやすいコンセプトにすることが重要です。

コンセプトが決まったら、続いて提供するメニューを考えます。シンプルな蕎麦だけでなく、セットメニューや日替わりメニューなどバリエーションを増やすと集客しやすいでしょう。

蕎麦職人としての技術を磨く

蕎麦屋を成功させるためには、蕎麦職人としての技術が欠かせません。

蕎麦の味や香りは職人によって変わり、日によっても変わることがあります。そのため、安定した味や香りを提供するためには、蕎麦の仕込み技術が必要です。

技術を磨く方法は、蕎麦屋で修行をするか、独学で学ぶか、フランチャイズの研修等があります。

時間がある方は、蕎麦屋の現場で修行を積むことがおすすめです。職人を毎日見て、教えてもらうことで、実践で使える技術が身につくでしょう。

立地調査や物件探しをする

次に、蕎麦屋を開業するエリアの立地調査をしましょう。どんな客層が多いか、競合他社はどれくらいあるかなどの調査が必要です。

物件を決める際には、店のコンセプトやターゲット層に合うエリアで開業することが重要です、

物件を見つけたら、予算や条件面の確認をしましょう。どんなにいい立地でも採算の合わない家賃だと、経営は苦しくなります。

資金の調達をする

蕎麦屋を開業するためには資金が不可欠です。開業に必要な初期投資やランニングコストを見積もり、早めに資金調達の計画を練ることが成功の鍵です。

資金調達がスムーズにいかない場合もあり、調達ができないと予定よりも開業が遅れてしまいます。

資金調達の方法は、上記の章でお伝えした通り、銀行や日本政策金融公庫からの融資、助成金の活用などがあります。それぞれのメリットやデメリットを比較し、最適な方法を選びましょう。

メニュー・仕入れ先を決める

蕎麦屋を経営するためには、仕入れがかなり重要です。蕎麦粉や具材の産地、量、価格、安定供給できるか、どこで仕入れるかをよく考えましょう。

仕入れは蕎麦の味や香りを左右するので、色んな業者を比較することが重要です。

資格取得や許可申請を行う

蕎麦屋を開業するには、飲食業に関する資格や許可が必要です。

必要な資格は主に以下の通りです。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 防火管理者
  • 開業届

なお、防火管理者は店舗の規模によって変わります。上記の章で詳しく話しているので、開業までに余裕をもって申請等を行いましょう。

効果的な広告宣伝を行う

最後に、広告宣伝の重要性です。どんなにいいお店に仕上げても、お店に来てもらえなければ意味がありません。

現代では飲食店をアピールするためには、SNSが一番です。世界中の人に一瞬でリーチができ、自分で運用する場合は費用が掛かりません。もし、資金に余裕がある場合は、インフルエンサーなどに宣伝してもらうと集客効果はさらに高まります。

広告を行った後は、その効果の確認も必要です。広告したことでの集客数や売上の変動を期間ごとに記録し、効果的な広告手法を見つけ出すことが成功につながります。

蕎麦屋の開業・経営での失敗例

蕎麦屋を開業・経営する中で、時には失敗してしまうこともあります。ここでは、失敗例をいくつか紹介していきましょう。

製麺作業を甘く考えている

開業者が陥りがちなのが、製麺作業を甘く考えてしまっていることです。

蕎麦には、二八蕎麦や十割蕎麦などがあり、種類や天候によって使うそば粉や製麺方法を変える必要があります。毎日安定した蕎麦の味や香りを提供することは、意外と難しいのです。

また、手打ち蕎麦を提供する場合、かなりの力仕事になります。毎日仕事をしていると、体力が持たなくなることも多く、健康面には気を遣わないといけません。

客単価が低く利益が出しにくい

蕎麦屋は客単価が低く、価格競争が激しい業界の一つです。

客単価が低いままだと、原材料や労働力のコストをカバーするのが難しく、利益が出しにくくなります。特に、周りに競合店舗や飲食店が多いと、価格を下げないと売れない現象に陥る可能性もあります。

自店独自のサービスやメニューの提供を行い、値段をそのままに集客数を増やす、もしくは単価を上げるのも1つの方法です。

また、運営資金を削減するために、最初は小さく始めることもおすすめできます。

コンセプトが曖昧

開業時に明確なコンセプトがないままスタートすると、他店との競争に敗れ、集客力を損なう可能性があります。

解決策としては、開業前からコンセプトを具体的に考えておくことです。

コンセプトを明確にするためには、目標とするターゲット層を設定することが大切です。

ターゲット層を考えると、そのターゲット層に合わせた独自の特徴やサービスを提供することもできます。また、ターゲット層に合わせた物件を選ぶこともできます。

蕎麦屋の開業・経営で成功するための秘訣

蕎麦屋の開業・経営は、成功するためには戦略的なアプローチが必要です。初心者でも理解しやすく、成功の秘訣を解説します。

製麺機で製麺作業を行う

秘訣の1つめは、製麺機を活用することです。

手打ち麺をコンセプトにしていない限り、機械の力を借りて製麺作業を行うことで効率的に進めることができます。

手打ちにすることで価値が多少上がり価格を上げることができるかもしれませんが、それよりもお客様の数だけ製造して効率よく店舗を回すほうが収益は上がりやすいです。

セットメニューを提供する

蕎麦屋でのセットメニュー提供は、客単価を上げるための有力な手段です。

蕎麦だけでなく、どんぶりやサイドメニューを組み合わせることで、顧客がより多くのメニューを楽しむきっかけとなり、売上を伸ばすことができます。

セットメニューの提供においては、バリエーションの豊かさがポイントです。季節限定や日替わりメニューも取り入れることで、飽きずに楽しむことができるでしょう。

アルコールを提供する

アルコールの提供は、蕎麦屋の魅力を広げる一因です。

アルコールは利益率が高いので、アルコールを提供することで、利益が増えます。また、蕎麦以外のおつまみや料理を頼むお客様も増え、客単価が上がるでしょう。

営業スタイルとしては、昼が蕎麦屋で夜は居酒屋風に営業することで、呑みたいお客様層を獲得できます。

コンセプトや回転率を意識する

蕎麦屋の経営において、コンセプトや回転率を意識することが重要です。

コンセプトとして高級店をイメージしているのであれば、回転率は意識する必要はないですが、サラリーマンなどをメインターゲットにしているのであれば、回転率をいかに高めることができるかが成功のカギです。

それに伴い、席数や席の配置を行い、落ち着いて食事ができる環境を作りましょう。

デリバリー提供も考える

近年、デリバリーサービスの需要が急増しています。

蕎麦屋もデリバリーサービスの導入により、新たな収益源を見出すことができます。今では自分でスタッフを雇わなくても、デリバリー業者に配達してもらうことも可能です。

デリバリーサービスの提供には、品質維持が不可欠です。そのため、食材の保冷・保温や梱包方法に気を付けましょう。

まとめ

本記事では、蕎麦屋の開業について詳しく解説しました。

蕎麦屋の開業方法は、個人開業とフランチャイズ開業の2つあります。個人開業は自分の好きな営業スタイルを行うことができ、フランチャイズは既存の成功モデルを利用できるメリットがあります。

蕎麦屋は客単価が低くなりやすいので、セットメニューやアルコールの提供などの工夫を行うことが必要です。

蕎麦屋の開業・経営での失敗例
・製麺作業を甘く考えている
・客単価が低く利益が出しにくい
・コンセプトが曖昧

蕎麦屋の開業・経営で成功するための秘訣
・製麺機で製麺作業を行う
・セットメニューを提供する
・アルコールを提供する
・コンセプトや回転率を意識した席数にする
・デリバリー提供も考える

詳細は本文で解説しているので、蕎麦屋を開業をしたい方は参考にしてください。

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この記事の執筆者

フランチャイズ支援歴10年

松田 和也

大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。

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