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キッチンカー開業の始め方ガイド|開業資金・必要資格・失敗しないコツを解説
キッチンカーは、コロナ渦以降ニーズも高まっており、コストを抑えやすいビジネスです。平均年収も高めなので、工夫次第ではたくさん稼ぐことができます。
この記事では、キッチンカーの開業資金、必要な資格、活用できる補助金、失敗しないためのコツについて解説します。これからキッチンカーを始めたい方は参考にしてください。
この記事の目次
キッチンカーを開業するメリット
キッチンカーの開業は、近年注目を集めている新たなビジネスの形態であり、その魅力はさまざまな側面から見ることができます。
特に、コロナ渦以降の状況を考慮すると、キッチンカーに参入する人も増えています。
以下では、キッチンカーを開業する際のメリットを詳しく解説します。
コロナ渦以降テイクアウトの需要が安定している
近年、コロナ渦の影響で外食産業は大きな変革を迎え、テイクアウトやデリバリーサービスへの需要が急増しました。
そして、コロナが落ち着いた今でも、テイクアウトやデリバリーサービスの需要は大きく下がることはなく、一定の需要があります。
また、キッチンカーは、営業場所を柔軟に変更できる点が大きな利点です。例えば、特定のエリアで需要が高まっている場合は、そちらに移動して効果的に営業することができます。
これにより、需要に応じて臨機応変に対応することが可能となります。
開業費用・固定費を抑えることができる
一般的な飲食店を開業する際には、店舗の賃貸料や内装など多くの開業費用が発生します。
しかし、キッチンカーは比較的低い初期投資で開業できるため、経済的なハードルが低いと言えます。そのため、初心者にとっても手軽に起業できるビジネスモデルです。
また、通常の飲食店では、家賃や電気代などの固定費がかさむことがあります。
しかし、キッチンカーは車両自体が移動しながら営業するため、これらの固定費を軽減させることが可能です。これにより、収益の向上が期待できます。
営業場所・メニューを変更できる
キッチンカーは、需要の高い場所に簡単に移動できるため、季節やイベントに合わせて営業場所を変更することができます。
例えば、夏はビーチや公園、冬はイルミネーションイベントの周辺など、様々なロケーションで営業することで、集客を最大化できます。
また、キッチンカーの特長は、柔軟なメニューの変更が可能であることです。需要の変化や地域の嗜好に応じて、手軽にメニューを変更・拡充できます。
これにより、常に新しい料理やサービスを提供することができ、顧客の興味を引きつけることが期待できます。
キッチンカーの開業は儲かる?平均年収は?
キッチンカーで開業している人の平均年収は、700万円前後と言われています。しかし、個人差があり、単価や稼働日数、出店場所により売上も大きく変わります。
実際は、400~500万円前後の人が割合的に多い印象です。そこで、400~500万円稼ぐための、年収シミュレーションをしていきます。
単価 | 1,000円 |
1日の販売個数(平日) | 30個 |
1日の販売個数(土日) | 90個 |
営業日数(平日) | 15日 |
営業日数(土日) | 8日 |
トータル販売数 | 450個(平日)+720個(土日) =1170個 |
1ヶ月の売上 | 117万円 |
経費
項目 | 金額 |
原材料費 | 35万円(売上の30%) |
人件費(アルバイト1人雇った場合) | 20万円 |
出店料 | 12万円(売上の10%) |
諸経費 | 11万円(売上の10%) |
合計 | 78万円 |
利益
1か月の売上:117万円 - 経費合計:78万円 =39万円
年収
39万円×12か月=468万円
出店場所やメニュー、人件費によって収入は変わりますが、実現できそうな数字ではあります。
キッチンカーの開業資金と運営資金
キッチンカーを開業するためには初期費用と運営していくための運営資金が必要です。一般的な飲食店よりも安く済む傾向にありますが、いくらかかるのでしょうか。以下で、開業資金と運営資金についてみていきます。
キッチンカーの開業資金
キッチンカーの開業資金は250~550万円ほどかかるのが一般的です。以下で、主な内訳についてみていきます。
項目 | 金額 |
車両費 | 200~500万円 |
車両内外装費 | 5~10万円 |
設備・備品費 | 5~20万円 |
食材費 | 20万円 |
資格・許可取得費 | 2~5万円 |
広告宣伝費 | 0~15万円 |
車両費は車両の取得方法によって異なります。中古車を取得してDIYすると200万円~300万円ほどでキッチンカーを手に入れることができます。
新車で購入する場合は、250~400万円ほどです。レンタルする場合は、1日5万円ほどが相場です。
車両の内装や外装を自分の好きなイメージに変えたい人は、その分の費用は掛かります。
設備費・備品費は提供するメニューによって異なりますが、例えば、「クレープ焼き器」「ガス代」「鉄板」などにかかる費用です。
資格・許可取得費は、都道府県によっても異なり、保健所から取得する許可数によって金額が増えます。
キッチンカーの運営資金
キッチンカーを運営していく費用は、売り上げに比例していきます。ここでは、売上が月117万円の店でシミュレーションをしていきます。
項目 | 費用 | 売上からの目安 |
人件費 | 20万円 | 15~20% |
原価 | 35万円 | 30% |
出店料 | 12万円 | 10% |
その他経費 | 11万円 | 10% |
合計 | 78万円 | 65~70% |
人件費は1人を雇った場合で算出していますが、1人で回せる場合は人件費を抑えることができます。
キッチンカーの開業資金調達法
キッチンカーの開業資金の調達方法を4つに分けてお伝えしていきます。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。
しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資
借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資
保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
新創業融資制度
新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
新規開業資金
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
以下が、キッチンカーの開業に利用できる補助金・助成金です。
小規模事業者持続化補助金
キッチンカーの機器や車両改装費用、広告費など、販路開拓などに取り組む費用などに利用できる
地域雇用開発助成金
各地域の雇用の促進や地域経済の振興を図るために設けられた助成金で、1年後ごとに最大3回まで受けられる
ものづくり補助金
中小企業が働き方改革や制度改革に対応するための補助金
地域創造的起業補助金
日本経済を活発化させるための事業に補助金を出す制度
メリット
補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット
補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
自分で貯金する
キッチンカーを開業するために、自分で貯金する方法は最もシンプルなアプローチです。
メリット
貯金による調達は借金を背負わないため、ビジネスの収益が直接自分のものになります。また、利子や返済のストレスがなく、精神的、経済的に安定感があります。
デメリット
開業までに時間がかかる場合があり、ビジネスを早く始めたい場合には向かないかもしれません。
キッチンカーを開業時に必要な資格・販売許可
キッチンカーを開業するためには、様々な資格や許可を得る必要があります。以下でそれらの用語の解説をします。
食料品衛生責任者
飲食店に1人以上は在籍していないといけない国家資格です。オーナーが自分で取得するか、従業員に取ってもらうか、資格保有者を雇うことが必要です。
各都道府県で行われている講習を受講終了して、保健所に申請することで資格を取得できます。
または、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している方は、保健所に申請するだけで大丈夫です。
保健所の営業許可
車内で調理して提供する「飲食店営業(自動車)」に当てはまるので、飲食店営業許可を保健所に申請する必要があります。
申請の前に食品衛生責任者を取得しておかないといけませんので、早めに準備しておきましょう。
申請後、間取りや立ち入り検査等での審査が通れば、無事許可証が交付されます。複数の地域でキッチンカーを営業する場合は、地域ごとに保健所の営業許可の取得が必要です。
キッチンカーを開業する流れや準備
キッチンカーを開業するには、慎重な計画と準備が必要です。初心者でも理解しやすいように、具体的なステップを解説します。
コンセプト・ターゲットを明確にする
開業する前に、キッチンカーのコンセプトをしっかりと確立しましょう。
例えば、「手軽に楽しむ本格的な料理の提供」や「SNS映えするメニューの提供」など、特徴的で魅力的なコンセプトを選ぶことが大切です。
また、どのような顧客層をターゲットにするかを明確にします。例えば、オフィスワーカー、ファミリー、若い女性など具体的な顧客像を描きましょう。
事業計画を作成する
成功するためには、しっかりとした事業計画が必要です。事業計画は将来の展望や目標、収支予測などをまとめたものであり、具体的な行動計画の基盤となります。
特に、初期費用を項目ごとに予算決めしておくことで、予想外の出費を避けることができます
出店場所を決める
キッチンカーの成功には出店場所の選定が鍵となります。人通りが多く、ターゲットとなる顧客層に合った場所を選ぶことが重要です。
また、出店したい場所が決まっても競合が場所を確保していたり、管理者から許可が下りないケースもあります。そのため、早めにスペースを確保しておくことが重要です。
料金やメニューを考える
料金設定は利益を上げるために大事なので、しっかり調査・計算したうえで算出しましょう。
競合相手や提供する価値を考慮し、お客様にリーズナブルで魅力的な価格を提供することが求められます。
また、メニューも利益を上げやすいメニューと人を惹きつけやすいメニューを用意することが重要です。特に、競合がたくさんいる場所での出店だと普通のメニューばかりだと勝ち残るのが厳しくなります。
食材を仕入れる
食材の仕入れは、おいしい料理を提供するために欠かせません。品質を重視しつつ、コストも考慮して仕入れ先を選ぶことが重要です。
特に重視したいのが、原価率です。原価率は販売価格に対する食材費の割合で、飲食店の原価率は約30%が目安となっております。
原価率を下げるには、中間業者をなるべく挟まずに仕入れることが大事なので、直接業者や生産者と関係性を作ることも意識しましょう。
広告宣伝を行う
広告宣伝はターゲットとなる顧客層に対してアピールする手段です。
SNSやチラシ、地域のイベントなど、効果的な手法を選ぶことが大事です。また、口コミの力も重要で、顧客が新たな顧客を紹介してくれることで、多くの人に店を知っていってもらえます。
キッチンカーを準備する方法
キッチンカーを始めるには、適切な車両の準備が不可欠です。ここでは、自分の車を改造して使う方法、新車での購入、中古車での購入、そしてキッチンカーのレンタルといった異なる方法について詳しく見ていきましょう。
自分の車を改造して使う
最初に考えられるのは、自分の車を改造してキッチンカーにする方法です。
自分で改造できる場合は50万円ほど、業者に依頼する場合は100~150万円ほどでできます。これは手軽でコストを抑えられますが、道路交通法や衛生規定など様々な法規制があるため、注意が必要です。
また、自分で行う場合は準備と作業で時間がかかりやすいです。
新車でキッチンカーを購入する
新車での購入は、安定感と信頼性があります。最新の技術や安全対策が備わっているため、長期的な事業展開を考える際に有利です。
そして、保健所の許可が下りる法的基準をクリアしている点も安心です。
しかし、新車の購入は他の方法に比べて費用が高くなり、250~500万円ほどかかります。
中古車でキッチンカーを購入する
中古車での購入は、新車に比べてコストを抑えることができます。利用歴や走行距離によって価格が異なるため、予算に合わせて選択できるのが魅力です。
以前キッチンカーとして利用していた車であれば、少しの変更だけで済むので、価格も抑えやすくなります。
しかし、状態をしっかり確認しておく必要があり、メンテナンス費用がかなり掛かる場合、新車とそこまで変わらないこともあるので確認しておきましょう。
キッチンカーをレンタルする
キッチンカーをレンタルする場合、初期投資や維持費用の軽減が期待できます。
レンタルの場合、準備期間も削減でき、早く事業を始めることもできます。レンタル代金は1日5万円、1週間で20万円前後が相場です。
この方法は短期間の利用やスポットでの利用の場合であればいいですが、長期的に事業をしていく場合は経費がかさんでしまうので、もったいないです。
キッチンカーの開業で失敗しないためのコツ
キッチンカーの開業で成功するには、しっかりした計画と実践が必要です。ここでは、キッチンカーの開業で失敗しないためのコツを紹介します。
作業しやすいキッチンカーで提供時間を短縮する
開業するキッチンカーは、作業しやすく、スムーズに調理が進むように設計することが大切です。
料理提供までの時間を短縮することで、お客様にとっては待ち時間が減るので、満足度が上がります。店側としては回転率が上がることで、より多くのお客様に料理を提供でき、売上を向上ができます。
例えば、手の届くところにいつも使うものを準備しておく、料理工程順にものを並べておくなどの工夫が必要です。
ニーズのある料理・メニューを提供する
キッチンカーで成功するためには、お客様が買いたいと思う商品を提供しないといけません。
ニーズのある料理やメニューを提供するためには、事前にマーケットリサーチが必要です。地域の嗜好や流行り、競合店のメニューを確認し、差別化できるアイディアを見つけましょう。
コスト削減のために最初から経費をかけすぎない
開業時には初期投資がかかりますが、無駄な経費をかけ過ぎないように気をつけましょう。
そのためには、必要最低限の設備や機材を揃えることが重要です。例えば、中古車を購入する、厨房機器や設備も中古品を購入する、最初はスタッフを雇わない、広告費も無料でできる範囲で頑張る、などです。
良い出店場所を確保するために管理者と関係性を作る
良い出店場所を確保するためには、地元自治体との関係性が重要です。出店ややイベント参加などは、管理者の許可が必要なので、長期的に良好な関係を築きましょう。
関係性を作るためには信頼関係が大切で、約束を守り、営業ルールを守ることが最低限重要です。
SNSを活用して魅力的な集客をする
SNSを活用することで、広告宣伝や集客を効果的に行えます。
SNSを使うのは当たり前になっているので、ただ活用するだけでなく、流行っている媒体や拡散方法を取り入れることが重要です。例えば、SNSで流行っている撮影方法で動画を撮るなどです。
まとめ
本記事では、キッチンカーの開業について詳しく解説しました。
キッチンカーの開業のメリットは、一定の需要が安定しており、初期費用・運営費用共に普通の飲食店よりコストを抑えやすく、営業場所を変えやすい点です。
キッチンカーの平均年収も国民の平均年収よりも高い水準なので、いいビジネスと言えます。
キッチンカーを準備する方法
・自分の車を改造して使う
・新車でキッチンカーを購入する
・中古車でキッチンカーを購入する
・キッチンカーをレンタルする
キッチンカーの開業で失敗しないためのコツ
・作業しやすいキッチンカーで提供時間を短縮する
・ニーズのある料理・メニューを提供する
・コスト削減のために最初から経費をかけすぎない
・良い出店場所を確保するために管理者と関係性を作る
・SNSを活用して魅力的な集客をする
詳細は本文で解説しているので、キッチンカーの開業をしたい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。