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【初心者必見】脱サラで農業を始めるには?準備資金・年収・支援制度まとめ
脱サラで農業を始めることは、都会のストレスも軽減でき、自然の生活をしながら仕事ができる仕事です。
この記事では、脱サラして農業を始める方法や年収、メリット、支援制度などについて解説します。脱サラして農業を始めようとしている人は参考にしてください。
この記事の目次
脱サラして農業を始める人が多い理由
近年、脱サラして農業を始める人が増えています。この現象にはさまざまな理由があり、以下で理由をお伝えします。
自然での暮らしに憧れている
多くの人が脱サラ後に農業を選ぶ理由の一つは、自然での暮らしに憧れているからです。現代の都市生活は忙しく、ストレスがたまりやすいものです。
そこで、田園風景や広大な自然環境に囲まれた生活に魅力を感じる人々が増えています。また、土地などの値段も安く、家を買うのも都会よりも安く生活がしやすくなります。
農業を通じて、日々の喧騒から離れ、季節の移り変わりを感じながら暮らすことができる点は理由の1つです。
ストレスからの解放
もう一つの理由は、都会でのストレスから解放されたいことです。
都市での仕事はしばしば非常に忙しく、ストレスの原因となることがあります。しかし、農業では自分のペースで作業ができ、自然と共に働くことでリラックスできる環境が提供されます。
また、コロナのようなウイルスが蔓延した時も、田舎のほうが移るリスクが少なく、健康的リスクが軽減されることも大きな要因です。
自分で育てた野菜で生活したい
最後に、自分で育てた野菜で生活したいという欲求が脱サラ者にとって大きな理由の1つです。
都市生活では、スーパーマーケットで加工食品や野菜を購入することが一般的ですが、その過程で野菜の生産者や生産方法が不透明なことがあります。農業を始めることで、自分で野菜を育て、食卓に新鮮で安全な食材を提供できる喜びを感じることができます。
また、有機野菜や無農薬野菜などの健康ニーズも高まっており、自家栽培のおいしさと健康的な面の両方を享受できることは重要でしょう。
農業の仕事内容と農業者人口
ここでは、農業の仕事内容と農業者人口について説明します。
農業の仕事内容
農業の仕事は、多岐にわたります。以下では、主な仕事についてお伝えします。
作物の種まきと収穫: 農業者は季節に合わせて畑や田んぼに種をまき、作物を育てます。これは、野菜、穀物、果物などのさまざまな作物に関連しています。
家畜の飼育: 農業は畜産も含み、家畜の世話をすることがあります。牛、豚、鶏などの動物を育て、肉や乳製品を生産します。
農業機械の操作: 農業者は農機具やトラクターなどの農業機械を使用して、畑の耕作や収穫を行います。
害虫との闘い: 作物を害虫から守るため、農薬や天敵の利用、防虫ネットの設置などさまざまな方法が用いられます。
水資源の管理: 農業は水を必要とするため、灌漑システムの管理や水の供給に関わる作業も行います。
市場への出荷と販売: 農産物を収穫した後、市場へ出荷し、販売することが一般的です。これには農産物の包装や品質管理も含まれます。
農業の仕事内容は多岐にわたり、季節によって変化することがあるため、農業者は柔軟で多才なスキルを持っている必要があります。
農業者人口の推移
農業者人口は、年々減り続けているのが現状です。種類別にみると、前年より増えている部分もありますので、一緒に見ていきます。
以下では、令和4年の農林水産省のデータをもとに分析していきます。
令和4年(令和4年2月1日~5年1月31日)
・新規就農者が4万5,840人で前年に比べ12.3%減少(このうち49歳以下は1万6,870人で8.4%減少)
上記の内訳は以下の通りです。
・新規自営農業就農者は3万1,400人で前年に比べ14.9%減少(49歳以下は6,500人で前年に比べ9.6%減少)
・新規雇用就農者は1万570人で前年に比べ8.6%減少(49歳以下は7,710人で前年に比べ9.7%減少)
・新規参入者は3,870人で前年に比べ1.0%増加(49歳以下は2,650人で前年に比べ1.5%減少)
上記のデータからわかるのは、49歳以下の新規参入者は減っていますが、全体的にみると新規参入者は増えています。
つまり、脱サラして農業の世界に飛び込んでいる人の人数は、微増ではあるものの増えているということです。
※新規参入者とは、土地や資金などを自ら調達して、新しく農業経営を始めた責任者、及び共同経営者のことを指します。
脱サラ農業は儲かる?種類別の自営農家の年収
自営農家の所得は一体いくら程度なのでしょうか。
農林水産省の統計によると、令和3年の平均年収は433.5万円でした。これは、利益から経費を引いた金額を指します。農業を含めた全業種の平均年収が443万円ほどなので、同程度稼げていることがわかります。
ですが、農家によって育てているものは違っているので、何を育て、どのように育て販売するかなども重要でしょう。
2021年の農林水産省の統計をもとに、農家の種類別平均年収を見てみます。
- 水田農家:350万円
- 畑作農家:1,300万円
- 施設栽培農家:1,700万円
- 露地栽培農家:1,000万円
- 果樹栽培農家:900万円
- 露地花き農家:650万円
- 施設花き農家:2,200万円
- 酪農家:9,000万円
また参考程度に、雇用就農者の平均年収を見てみると、344万円と自営農家よりも低い結果となっています。
脱サラで農業を始めるために必要な資金
脱サラで農業を始める人ためには、初期費用と運営していくための費用が必要です。
脱サラで農業を始めるための初期費用
脱サラして農家を始めるためには、500~600万円ほどは必要と言われています。
農家を始めるためには、
- 農地
- 農機具
- 車(軽トラック)
- 設備費
- 苗・肥料
など準備するものはたくさんあります。
項目 | 金額 |
農地 | 100~300万円 |
農機具 | 200~400万円 |
車(軽トラック) | 50~200万円 |
設備費 | 50~200万円 |
苗・肥料 | 100~200万円 |
上記に参考金額を表示しましたが、農地の大きさやそろえる設備によって異なります。
脱サラで農業を始めるための運営費用
初期費用と同じように、運営費用も農業の方法で全く異なります。
全体的にみると、100万円~200万円が一般的な運営費用です。水稲と果樹は平均よりも運用費用が安いのに対し、ビニールハウスで育てる施設野菜は運用が高くなる傾向があります。
天候トラブルや問題が起きた時には、修繕費もかかり多めに資金は用意しておきましょう。
脱サラして農業を始めるメリット
脱サラして農業を始めることは、多くのメリットがある選択肢の一つです。
ここでは、その中でも「家族との時間が増える」および「自然を満喫できる」という魅力的な側面に焦点を当てて説明します。
家族との時間が増える
多くの都市で働く人々にとって、忙しいスケジュールや長時間の通勤は、家族との時間を犠牲にすることがあります。しかし、脱サラして農業を始めると、家族とのコミュニケーションや共同作業の機会が増えます。
農業は家族全員が参加できる活動です。畑仕事や家畜の世話を通じて、家族は協力し合い、一体感を高めることもできます。また、農業は忙しいこともありますが、都会のストレスがなくなり、家族全体がストレスを軽減できる環境になりやすいでしょう。
自然を満喫できる
自然の美しさや平穏な環境は、多くの人々にとって魅力的です。脱サラして農業を始めることで、自然を存分に楽しむことができます。
日本の四季や季節感を感じやすくなり、植物や動物とも触れ合うことで、幸福感を感じることができます。また、都市部の大気汚染や騒音から離れ、新鮮な農村の空気を味わうことができ、リラックスや健康にプラスの影響を与えてくれるでしょう。
脱サラして農業を始めるデメリット
脱サラして農業を始めることには多くの魅力がありますが、同時にデメリットも存在します。
ここでは、特に「農業を始める環境作りが大変」と「田舎での人間関係が大変」といったデメリットに焦点を当て説明します。
農業を始める環境作りが大変
色んな大変場面がありますが、特に大変なのが農地を確保することです。
農地を取得するには、農業委員会の許可や地域、地主に(お金を払って)農地を譲ってもらうことが必要です。農業委員会は許可されたとしても、土地によっては地主が簡単に手放したくないこともよくあります。
そのため、譲ってもいいと思われるような振る舞いや態度を示し、信頼を勝ち取ることが大事です。
田舎での人間関係が大変
脱サラして田舎で農業を始める場合、田舎の環境や人間関係に苦労することもあります。
田舎では都市と比べて社交が限られています。みんなは知っているが、自分だけ知らない人という環境なので、良好な関係を築くことが大事です。新たな住民としての地位を築くためには、地元の人々との信頼関係を築く必要があります。
また、友人や親しい人々との交流が難しくなり、孤独感を感じることがあるかもしれません。
脱サラして農業を始める方法や準備
脱サラして農業を始めるためには、計画的な準備が重要です。
ここでは、脱サラ者が農業を始めるための方法や準備について、初心者にも分かりやすく説明します。
開業資金と事業計画の準備
農業を始めるために、開業資金と事業計画の準備が必要です。
農業には土地の購入、種子、肥料、農機具などの初期費用が掛かります。初期費用は先ほどもお話しした通り、場所や規模などによって異なりますが、500万円ほどはかかる場合が多いです。
また、作物はすぐに育たず、収穫できるまでは収入がない状態が続くので、収穫時期を計算した生活費も準備をしましょう。
事業計画については、何を育てるのか、どこに売るのか、どのように育てるのかなど考えることが多いです。そして、地域の特色や天候などは実際に行かないとわからないこともあるので、始める前に何度か足を運ぶことが重要です。
事業計画の策定: 農業の事業計画を立てることは成功の鍵です。作物や家畜の選択、生産スケジュール、販売戦略などを詳細に計画し、将来の目標を設定しましょう。計画は柔軟で調整可能であるべきです。
農地の確保
農業を始めるには、農地の確保が必要です。土壌の状態、水源へのアクセス、気象条件などを考慮し選びます。
ただ、自分が良い土地だと思っても、農地法などの条件に合わない場合などは認められません。そのため、農業委員会や支援団体、不動産屋が紹介してもらうことが一般的です。
また、土地所有者に土地を譲ってもらうことも重要です。誰かもわからない方に土地を譲りたくない方もいるので、信頼関係を築いていきましょう。
農機具を集める
農業を行うためには、農機具が必要です。農作業に必要な機具をリストアップしましょう。
一般的に高いと言われるトラクターなどは数百万円するので、中古を買うか、レンタルすると初期費用を抑えることができます。地域によっては、共同で使用できることもあるので、情報を集めることも大切です。
ホームセンターに売っているものも多いですが、専門店でないと売ってないものもあるので、早めの準備をしておきましょう。
知識や技術の習得
農業は専門知識と技術が必要な分野です。
知識や技術を学ぶためには、農業大学校、就農準備校、農業法人への就職、弟子入りするなどがあります。それぞれ特徴があり、農業大学校、就農準備校は座学や実習で学ぶことが多く、農業法人への就職、弟子入りは実際に働くことで学んでいきます。
自分がどこで学ぶべきかわからない方は、各都道府県の新規就農センターに相談するのがおすすめです。
脱サラして農業を始めるのに役立つ制度
ここでは、脱サラ者が農業を始める際に役立ついくつかの制度に焦点を当て、初心者にも分かりやすく説明します。
農業次世代人材投資資金
農業次世代人材投資資金は、若い農業者や新規農業者向けの助成金です。この制度は、農業の再活性化と新たな才能を奨励するために設立されました。
まずは準備金として、年間150万円を農業研修期間中に、最長2年間交付してくれます。研修終了後は、経営がすぐに軌道に乗らないことがあるので、経営してから最長5年間、年間150万円の補助金の交付があるという制度です。
経営体育成支援
経営体育成支援は、農業の発展を目的に、事業で利用する設備投資の支援制度です。
これから地域の農業を担っていく方の育成、経営発展などの際に必要になる農業設備や施設を導入するために利用できます。
経営継承・発展等支援事業
地域農業の担い手の経営を継承した後継者が、経営継承後の経営発展に関する計画(販路の開拓、新品種の導入、営農の省力化等)を策定し、同計画に基づく取組を行う場合に必要となる経費を市町村と一体となって支援する制度です。
地域農業の担い手(中心経営体等)の先代事業者(個人事業主又は法人の代表者)から経営に関する主宰権の移譲を受けた後継者(親子、第三者など先代事業者との関係は問いません)が対象です。(引用元: 農林水産省)
IT導入補助金
IT導入補助金は、業務効率化を目的にITシステムの導入や機器の購入を支援する制度です。農業において情報技術(IT)を活用することは、生産性向上や経営効率化に貢献します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業が働き方改革や制度改革に対応するための補助金です。
新しいサービスやシステム、商品の開発などを行う際に支援してもらうことができ、農業の世界でも「資本金3億円以下」「常勤従業員数300人以下の法人または個人」の条件をクリアできれば、申請することができます。
脱サラして農業を始める前の注意点
脱サラして農業を始める前に、注意すべきポイントがあります。
デメリットを理解して始める
農業を始める前にデメリットを理解し、リアルな見通しを持つことが重要です。
農業は天候や市場の変動に左右されるため、収益が安定しないことがあります。初期の収入は少ないため、生計を立てる計画が必要です。また、農業は体力仕事なので、慣れない最初の間は大変なことも多いでしょう。
他には、農業を始める前の準備や田舎での人間関係も苦労する方が多いので、気をつけましょう。
最初は副業から始めることも考える
農業を始める際、最初は副業から始めることも検討する価値があります。
農業に本格的に取り組む前に、副業として始めることでリスクを軽減できます。例えば、本業がリモートワークの会社の場合、移住して農業を行いながら本業もこなすことも可能です。体力的にきついかもしれませんが、金銭的リスクを抑えることができます。
逆に移住をせずに、近くの農園を使うことができれば、今の生活に少しずつ農業を入れていくのもいいでしょう。
脱サラで農業を始めて上手くいくコツ
脱サラして農業を始めることは魅力的な選択ですが、成功するためにはいくつかの重要なコツがあります。ここでは、脱サラ農業の成功に向けたコツについて説明します。
儲かる作物を作る
農業で成功するためには、儲かる作物を選ぶことが重要です。
農業の作物選びで重要なことは、自分の土地に合った作物で効率よく稼げるものを育てることです。例えば、売り上げはたくさん上がるが、育てるまでに手間や期間がかかるものを育てると、時給換算した時に時給が低くなります。時給が高い作物の例で行くと、「キャベツ」「白菜」は効率が良いです。
また、自分の農地の広さに合ったものを作ることも心がけましょう。
競合に負けない自社の強みを出す
競争が激しい農業市場で成功するために、自社の強みを活かすことが大切です。
競合が育てている作物を同じように育てることは得策ではありません。例えば、「特産品を育てる」「無農薬・有機野菜のみを育てる」「販売する商品に自分の写真やプロフィールを載せる」などの工夫をすることもいいでしょう。
野菜はどこで買っても一緒と感じている方が多いので、差別化をすることが重要です。
経理や会計管理もしっかり行う
農業経営は、適切な経理と会計管理が欠かせません。特に、収益が安定するまでは資金管理を怠ると、事業の失敗確率が上がります。
自分で事業を行う場合は、確定申告も行わないといけないので、困らないように正確に管理することが必要です。
多様な作物を作りリスク分散をする
農業経営のリスクを分散させるために、多様な作物を育てることは重要です。特定の種類のものだと同時に需要が減る場合があるので、できるだけいろんな種類を育てることがおすすめです。
また、同じ時期に収穫するものではなく、異なる時期に収穫できるような種類にするとリスクがさらに軽減されます。
まとめ
本記事では、脱サラ農業について詳しく解説しました。
脱サラして農業を始めると、最初はわからないことが多く、資金面でのリスクもあります。しかし、成功するためのコツを実践して、支援制度を上手く活用することで、成功できるチャンスは十分あります。
脱サラして農業を始めるのに役立つ制度
・農業次世代人材投資資金
・経営体育成支援
・経営継承・発展等支援事業
・IT導入補助金
・ものづくり補助金
脱サラで農業を始めて上手くいくコツ
・儲かる作物を作る
・競合に負けない自社の強みを出す
・経理や会計管理もしっかり行う
・多様な作物を作りリスク分散をする
詳細は本文で解説しているので、脱サラして農業を始めたい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。