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独立・開業
個人タクシー事業者のなり方|資格条件と開業の流れを解説
個人タクシーは、様々な条件を満たさないと開業ができません。では、どのような条件が必要なのでしょうか。
この記事では、個人タクシーを開業するための条件、開業方法、資金・試験について解説します。これから個人タクシーを始めたい方は参考にしてください。
この記事の目次
個人タクシーと法人タクシーの違い
タクシーは私たちの日常生活でよく利用される交通手段の1つですが、個人タクシーと法人タクシーという2つの異なる種類が存在します。
ここでは、これら2つのタクシータイプの違いについて詳しく説明します。
個人タクシー
個人タクシーは、個人事業主として働くタクシー運転手です。運転手自身がタクシーを所有していることが一般的です。自分が働いた分がすべて自分のものとなり、時間も融通が利きます。
また、条件が細かく設定されており、法人タクシーよりもなるためのハードルが高いです。条件については、後の章で説明します。
法人タクシー
法人タクシーは、タクシー業界における法人や企業が所有し、運営するタクシーの形態を指します。個人タクシーとは違い、タクシーの所有者と運転手が異なります。
運転手は、この法人や企業の従業員として働くので給料制です。お客様が少ないときでも一定の給料が保証されているのが特徴です。
一方で、ある程度固定給なので、大きく稼ぎにくく、長時間労働になりやすいことはデメリットとして挙げられます。
2002年に条件緩和!個人タクシーの3つの開業方法
個人タクシーを開業する方法は2つあります。以下で詳細を説明します。
新規許可
新規許可とは、新しく営業したい地域で許可を取る方法です
申請時期は地域で異なるので、営業したい管轄の運輸局に問い合わせしましょう。申請した地域以外の運転は禁止になっているので、注意しましょう。
新規許可は、自分で一から始めるので、事業方針も自由なことが多いのが特徴です。一方、申請して許可が下りるまで時間がかかり、受付台数も制限があるので、いつでもすぐ始めることができるわけではありません。
譲渡譲受
譲渡譲受は、事業を行っている人から事業行う権利を譲ってもらう方法です。
譲渡人と譲受人で「譲渡譲受契約」を行い、運輸局に「譲渡譲受認可申請」を申請します。
譲渡譲受のメリットは、既に事業を行っているので基盤ができており、スムーズに事業を開始できることです。
一方、以前の事業者の事業方針に従わないといけない点が発生し、譲渡譲受の際に費用がかかります。また、譲渡人を探すのに苦労することもあり、時間がかかることもあります。
現在は、新規許可ではなく、譲渡譲受で事業を始める方が多いです。
事業相続
事業相続は、個人タクシーの事業を相続する方法です。
現在、新規許可を行っていない運輸局も多いです。そのため、廃業予定の人と個人タクシー事業者が譲渡譲受契約を結び、営業権利の費用を支払い、事業を譲り受ける流れが増えています。
2002年の条件緩和で、タクシー事業への新規参入者が増えました。しかし、タクシー台数が増えたことで、給与の低下、サービスの質の低下といった問題も多いのです。
個人タクシーを開業するメリット
タクシー業界で個人タクシーを開業することは、多くのメリットを提供します。ここでは、個人タクシーの開業における主なメリットについてわかりやすく説明します。
働き方が自由
個人タクシーの運転手は、自分の運転スケジュールを自由に管理できるため、ワークライフバランスを保つことが可能です。
また、他の仕事や副業との組み合わせがしやすく、自分の都合に合わせて収入を得ることができます。その時の経済的な事情によって働く日数を変えることができるのは、大きなメリットです。
高収入を狙える
個人タクシー運転手は、自分が稼いだ分が全て自分の収入になるので、頑張り次第で高収入を狙うことができます。
努力とサービスの質が報酬に直結するので、働き甲斐が出てくるでしょう。
長期間働くことができる
個人タクシーの運転手は75歳まで働くことができ、高齢者でも長期間働くことが可能です。
法人のタクシーの場合、60~65歳ほどで定年退職がある企業が多く、その後の生活のことを考えると個人タクシーのほうがメリットが大きいでしょう。
個人タクシーを開業するデメリット
個人タクシーの開業には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、個人タクシーの開業における主なデメリットについて、初心者にも理解しやすいようにわかりやすく説明します。
体力と経済的コストが必要
個人タクシーの運転手は、運転から営業、管理業務まで行う必要があります。
体力的に大変な働き方になるので、体力に自信がある人が向いているでしょう。
また、タクシー車両やライセンス取得には初期投資が必要で、経済的負担があることがあります。車両の維持費や事業にかかる費用も自分で負担をするので、資金管理をしっかり行わないといけません。
ライバルが多い
タクシー業界は競争が激しく、多くの運転手が同じ顧客を狙っています。
今は、同じタクシーだけでなく、配車アプリやライドシェアサービスがあり、顧客獲得の競争が激しいです。他との差別化や顧客満足度の高いサービスが求められるでしょう。
個人タクシーの開業は稼げる?年収は?
個人タクシーだけでなく、全国のタクシー運転手の平均年収は360万円ほどです。
これは、全国での平均になるので、地域や企業によっても大きく異なります。東京などの都市部のほうが給料は高い傾向がありますが、収入が高い場所ほど競合も多いでしょう。
個人タクシーは固定で給料が決まっているわけではないので、働き方や事業方針によっては平均以上稼げる可能性も十分あります。
たくさん稼ぐためには、マーケティング戦略や接客の質を上げるなどが必要です。リピーターを獲得することも大事です。
個人タクシーを開業するのに必要な資金
個人でタクシーを開業するためには、400~500万円は必要です。
一番大きな支出が、車両です。この車両は新車から中古車までありますが、200~400万円ほどで考えておきましょう。
その他、車庫・必要な保険・設備資金、運輸局への申請代、組合への加入費、運転資金が必要となってきます。
車両をタクシー仕様にする必要もあり、車両代以外で、200万円前後かかる想定が必要です。
個人タクシーを開業するのに必要な資金調達方法
個人タクシーを開業するのに資金調達を行う必要があります。以下でその方法を3つ紹介します。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資…借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資…保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
「新創業融資制度」…新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
「新規開業資金」…新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
メリット: 補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット: 補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
個人タクシーを開業するための条件
個人タクシーを開業するためには様々な条件をクリアする必要があります。以下では、それらの条件を詳しく説明します。
資格の条件
ここでは、年齢別の資格条件について説明します。
35歳未満の場合
- 申請する営業区域で10年以上、同一のタクシー又はハイヤー事業者に雇われ、継続してタクシー運転手を経験していたこと
- 申請日以前の10年間無事故無違反であること
35~40歳未満
- 申請する営業区域で10年以上車を運転する仕事を経験していたこと
※ただし、一般旅客自動車運送事業(バスやタクシー)以外で運転していた経験は50%換算となる。つまり、10年働いていても5年ということです。
- タクシーやハイヤーを運転する職業に5年以上勤めていて、継続して3年以上働いていた
上記2点のうち、どちらかの条件を満たす必要があります。
40~65歳
- 過去25年間で、10年以上車を運転する仕事を経験していたこと
※ただし、一般旅客自動車運送事業(バスやタクシー)以外で運転していた経験は50%換算となる。つまり、10年働いていても5年ということです。
- 申請する営業区域で申請日の3年以内にタクシーやハイヤーを運転する職業に2年以上勤めていたこと
上記2点のうち、どちらかの条件を満たす必要があります。
資金の条件
以下では、開業するための資金面の条件を説明します。
- 所要資金の見積りが適切であり、資金計画が合理的かつ確実なものであること
- 所要資金の100%以上の自己資金が申請日以降常時確保されていること
設備資金
原則として70万円以上
これは、車両をタクシー車両に変更する費用などです。
運転資金
原則として70万円以上
自動車車庫に要する資金
新築、改築、購入又は借入等自動車車庫の確保に有する資金
保険料
自動車損害賠償保障法に定める自賠責保険料(保険期間12ヶ月以上)
平成17年国土交通省告示第503号で定める基準に適合する任意保険または共済に係る保険料の年額
つまり、200万円以上の資金は確保しておきましょう。
その他の条件
免許の取得条件として、普通免許ではなく「第二種運転免許」の取得が必要です。
他にも、「営業所とガレージの確保」として、営業所や車を保管するガレージが必要です。
営業所は自宅でも可能なので、ガレージを車庫として申請もできます。また、「健康診断書の提出」も必要です。健康面で問題がないことを証明しないといけません。
個人タクシーを開業するには試験合格が必要
個人タクシーを開業するためには、指定された試験に合格する必要があります。運輸局が定期的に行っているので、忘れずに申し込みしましょう。
地理試験
地理試験は、営業エリアに関しての試験となっています。〇×方式で30問中27問正解で合格です。
具体的には、地名や道路名、交差点、公園、川、観光名所の場所、地理的条件、最短距離や運賃、地域の避難ルートなどの問題が出題されます。
申請日以前に10年以上タクシー・ハイヤー事業者に雇用され、運転する職業についており、申請日以前5年間無事故無違反の場合、地理試験が免除されます。
法令試験
法令試験は、タクシー事業の法令に関しての試験となっています。〇×方式で45問中41問正解で合格です。
具体的には、道路交通法など法律の問題が出題され、運転するのに必要な知識ばかりです。また、お客様とのトラブルや事故時の対応なども出題されます。
全国個人タクシー協会に属している人がほとんど
個人タクシーの開業者のほとんどが、全国個人タクシー組合に加入しています。
組合に加入するには、預金口座に200万円以上が入っていることが条件です。
組合に加入している人は以下のようなメリットを享受できます。
- 無線配車
- 申請手続きのアドバイス
- チケットやクーポン
- 健康診断の補助
などがあります。
1人だと難しいことも組合に入ることで解決することもあるので、入ることがおすすめです。
個人タクシーを開業する流れや準備
個人タクシーを開業するためには必要な準備があります。
まずは、年齢に応じた資格を取得するために、タクシー会社で10年以上働く必要があります。ここでは、接客スキルや運転スキル、業界の仕組みなどを学ぶことが必要です。
条件をクリアした方は、営業地域の運輸局に申請を行います。開業方法は新規許可と譲渡譲受の2種類あるので、自分に合った方法を選びましょう。
申請完了後、法令試験と地理試験を受験しましょう。この試験の合格後、申請した内容の審査が始まるので、忘れないように受験が必要です。
審査完了後、許可証を受け取り、運輸開始届を提出して開業できます。
個人タクシーを開業して失敗しないためのコツ
個人タクシーの開業は、成功するために適切な戦略と計画が必要です。ここでは、個人タクシーを開業して失敗しないための重要なコツについて詳しく説明します。
開業エリアをしっかり決める
個人タクシーの成功には、適切な開業エリアを選ぶことが不可欠です。
自分の地元やよく知る地域で開業することも、開業候補として入れることは良いでしょう。地元のニーズや特異性を理解し、競合他社と差別化することができます。
また、開業エリアのターゲット市場を分析し、需要が高い地域を選びましょう。たとえば、観光地やビジネス街、交通の便がいいところは需要があるので、おすすめです。
集客に力を入れる
個人タクシーの成功には、効果的な集客が不可欠です。
ウェブサイトやSNSを活用して、オンラインでの存在感を高めましょう。現代の顧客は情報を探す際にインターネットを利用しているので、効果的です。また、サービス内容が良く、顧客満足度が高ければ、リピーターを増やすことができます。
リピーターを増やすことができれば、安定的な収益を得やすくなり、経営が安定してきます。さらに、顧客満足度が高いと口コミでお客様が増えることもあり、依頼が増えるでしょう。
タクシーの配車アプリを利用する
現代のタクシー事業では、タクシーの配車アプリを利用することが成功の要因となっています。
お客様で配車アプリを利用している人は多く、決済もスマホ決済で車内で行わなくてもいいアプリもあるので、双方にメリットがあります。つまり、配車アプリを使うことで、お客様を乗せる頻度増えるでしょう。
アプリによって使い方や利便性が異なるので、使いやすい優良なサービスを利用するようにしましょう。
全国個人タクシー協会に所属する
全国個人タクシー協会への所属することで、様々なメリットがあります。
先程の章でもお話ししましたが、開業のためのサポートや業務内でのサポートを行ってくれます。割引クーポンなども利用できるので、集客にも役立つでしょう。
また、業界内の情報を手に入れることもでき、組合員同士のつながりもできるので、加入することをおすすめします。
フランチャイズで開業する
フランチャイズを活用することは、個人タクシーの開業において効果的な戦略です。
フランチャイズは、既存の成功しているブランドを利用できるので、お客様からの信頼がある状態で開業できます。つまり、集客がしやすく経営が安定しやすい特徴があります。
また、経営などのサポートがついているので、初めて開業する人でも安心です。
ただ、フランチャイズ加盟料やロイヤリティ(売上の一部を本部に支払う制度)がかかるので、様々なフランチャイズを見比べて自分に合ったものを選びましょう。
まとめ
本記事では、個人タクシーの開業について詳しく解説しました。
個人タクシーは、まずタクシー会社で雇われながら経験を積むことが必要です。そのため、未経験の方がすぐに個人でタクシーを開業できないので、注意しましょう。
個人タクシーを開業するメリット
・働き方が自由
・高収入を狙える
・長期間働くことができる
個人タクシーを開業して失敗しないためのコツ
・開業エリアをしっかり決める
・集客に力を入れる
・タクシーの配車アプリを利用する
・全国個人タクシー協会に所属する
・フランチャイズで開業する
詳細は本文で解説しているので、個人でタクシーを開業をしたい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。