ゲストハウスの開業・経営に必要な資金・年収・資格・失敗しないコツ
独立・開業
宅建士の独立開業は儲かる?年収や準備・費用・失敗しないためのコツを解説
宅建士の資格を取得すると、自分で独立開業することが可能です。独立開業した場合にどれくらい稼げるのか、準備や費用、失敗例を知っていれば、独立開業後に役立ちます。
この記事では、宅建士で独立開業した時の年収、準備や費用、失敗しないためのコツについて解説します。
この記事の目次
宅建士の資格があれば独立可能?
宅建士の資格があれば、独立開業することが可能です。その際は、宅建士だけでなく、宅地建物取引業免許の申請も必要です。
宅建士は試験に合格すると資格を取得でき、資格登録と宅建士証の交付まで済ませる必要があります。
宅地建物取引業免許は、国土交通大臣か都道府県知事から付与されるものです。
また、宅地建物取引業免許を申請するためには、資格取得や申請に加え、事務所の開設もしないといけません。事務所を借りる費用がない方は、自宅を事務所としてもかまいません。
宅建士の独立開業に必要な準備や流れ
宅建士として独立開業するためには、いくつかの準備が必要です。ここでは、どのような準備が必要なのかを解説していきます。
宅建試験に合格する
独立開業するためには、まず宅建士の資格を取得する必要があります。理由としては、不動産の取引で宅建士の資格がないとできないことがあるからです。
宅建士の試験は、「宅建業法」「権利関係」「法令上の制限」「税・その他」という4つで構成されています。
問題数は50問で合格ラインは35問前後です。試験は毎年1回で10月に行われ、合格率は15%前後です。
資格登録・宅建士証を交付してもらう
宅建士の試験に合格しただけでは、宅建士にはなれません。宅建士となるためには、資格登録と宅建士証を交付してもらう必要があります。
まずは、資格登録です。もし、実務経験が2年未満しかない人は、登録実務講習を終了後、資格登録となります。
その後、宅建士証の交付申請を行い、交付してもらいます。もし、資格登録してから1年以上経ってから申請する場合は、法定講習の受講が必要です。
事務所を準備する
宅地建物取引業免許を取得して、独立開業するには適切なオフィススペースや必要な備品を用意する必要があります。もし、法人として独立開業する場合は、法人登記も行いましょう。
オフィスの場所、路面orビル、アクセス、都市部or郊外、などコンセプトやターゲットに合わせて決めることは大切です。
また、宅地建物取引免許の審査があるので、以下の条件をクリアしている物件を選ぶ必要があります。
- 事務所専用の出入り口がある(住宅の場合は自宅とは別の出入り口があるか)
- 他の会社や居住スペースと壁で仕切られている
条件に合う物件を探すためにも、早めに探しましょう。
宅地建物取引業免許を取得する
不動産業界での独立や開業には、宅地建物取引業の免許が必要です。
宅地建物取引業免許には2種類あります。
都道府県知事免許
1つの都道府県内に事務所を開設する場合に必要
国土交通大臣免許
2つ以上の都道府県に事務所を開設する場合に必要
初めて独立開業する方は、まず1か所から始める方が多いと思うので、その場合は都道府県知事免許で十分です。
免許を取得するための準備は以下の通りです。
- 事務所の開設
- 宅地建物取引士の準備
- 営業保証金の準備
- 欠格事由に該当しない(免許が受けられないor5年間免許が受けられない事由がある)
宅地建物取引士は、経営者が必ず取得しないといけないものではなく、従業員が持っていても大丈夫です。
しかし、従業員5人につき宅地建物取引士が1人以上必要なので、従業員が15人いれば3人は宅地建物取引士が働いていないといけません。
保証協会か宅建協会に加入する
不動産保証協会か宅建協会に加入する必要があります。
その際に営業保証金として、本店1店舗あたり1,000万円、支店1店舗あたり500万円を供託しないといけません。
これは不動産の取引相手が損失を被った際の弁済金です。例えば、顧客が不動産売却時に、不動産業者が顧客にお金を支払えないなどがあった場合などです。
そしてもし、顧客に支払いができなかった場合に、保証金から支払いが行われます。
しかし、弁済業務補償金分担金(本店60万円、支店30万円)を支払うことで、営業保証金の支払いが免除となります。
宅建士の独立開業に必要な費用
宅建士として独立開業するためには、300~400万円必要とされています。これは人によって異なるので、1,000万円以上必要という方もいます。
会社設立費用
会社の設立は、個人か法人かに分かれます。個人の場合は、法人よりも独立開業費用が安く、手続きの手間が少ないのが特徴です。
一方、社会的信用が低くなりがちなので、融資などが通りづらい、融資額が低くなりやすいです。
法人として株式会社を設立する場合は、社会的信用度が高くなりやすくなります。しかし、費用が20~25万円必要で、手続くが多くなります。
会社設立の手続きは、定款作成や出資金の支払い、登記手続きなどです。
事務所開設の初期費用
物件を取得する費用には、手数料や敷金、内装工事費なども含まれております。
他に、WIFIやコピー機、机、いす、OA機器などの設備が必要です。
項目 | 資金 |
物件取得費 | 100~400万円 |
設備費 | 20~100万円 |
通信費 | 5~10万円 |
合計 | 125~510万円 |
また、自動車を購入する場合は、自動車購入費用もかかります。
営業保証金・弁済業務保証金
不動産業者が開業前に供託所に営業保証金を供託する義務があり、営業所(本店)1ヶ所で1,000万円、支店ごとに500万円の供託金を支払います。
営業所の種類 | 費用 |
本店(一カ所) | 1,000万円 |
支店ごと | 500万円 |
しかし、宅建協会に加入することによってこの支払いは免除されます。その代わり、弁済業務保証金分担金の支払いが必要です。
弁済業務保証金分担金
営業所の種類 | 費用 |
本店(一カ所) | 60万円 |
支店ごと | 30万円 |
保証協会加入・年会費
保証協会には、全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク)と全日本不動産協会(ウサギマーク)の2種類があります。
協会 | 費用 |
全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク) | 130~180万円 |
全日本不動産協会(ウサギマーク) | 140~160万円 |
※各都道府県やタイミングによって金額が異なります。
【全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク)】
全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク)は会員数が約10万人おり、国内最大の不動産業界の団体です。
約80%の宅建業者が加盟しており、青年部会や女性部会などが各地域に存在し、その規模感を活かした地域密着型のサポートが特徴です。
入会金は20万円、年会費が6000円、宅建協会や組合への入会も合わせると、初年度の合計費用は130~180万円程度となります。
【全日本不動産協会(ウサギマーク)】
全日本不動産協会(通常ウサギマーク)は会員数が約3万5000人の全国規模の組織です。
全国宅地建物取引業協会連合会よりは会員数は少ないものの、60年以上の歴史を持ち、47都道府県で事業を展開しているので、どの地域でも手続きが行えます。全国に会員がおり、会員同士のネットワークが強いことが特徴です。
入会金は70万円、年会費は8万4000円、不動産保証協会の入会なども合わせると、合計費用は140~160万円程度となります
保証協会に加入すると、営業保証金の免除のほかにも、メリットがあります。
- レインズ(物件を検索できるサイト)が使える
- 契約書のひな型を入手できる
- 最新情報を共有してもらえる
- トラブル時のサポートがある
宅建免許の申請手数料
先程もお伝えしたように、宅建免許には2種類あります。
都道府県知事免許…1つの都道府県内に事務所を開設する場合に必要
国土交通大臣免許…2つ以上の都道府県に事務所を開設する場合に必要
項目 | 手数料 |
登録免許税(国土交通大臣免許の新規登録) | 9万円 |
登録免許税(都道府県知事免許の新規登録) | 3.3万円 |
更新申請手数料 | 3.3万円 |
更新手数料は、国土交通大臣免許と都道府県知事免許ともに一緒です。
営業運営費
毎月の運営費用は、家賃や車の台数、人件費によって変わります。
一般的には人件費を含めず計算すると、月20~30万円ほどと考えておきましょう。
事務所の維持費、自動車の維持費、通信費などが主な経費です。
宅建士が独立開業するメリット
宅建士が独立開業することには、様々なメリットがあります。これらのメリットを理解することで、宅建士としてのキャリアをスタートしようとする人も増えるでしょう。
ここでは、その中でも代表的なメリットに焦点を当ててみましょう。
在庫リスクがない
宅建士が独立開業する一つの大きなメリットは、在庫リスクがないことです。
在庫リスクとは、商品や物品を仕入れて在庫として保管することに伴うリスクのことですが、宅建士の場合は物理的な商品を保管する必要がないため、これが発生しません。
しかし、土地や建物を所有して売買を行う場合は、ローン金利や税金の支払いが必要です。
経営の自由度が高い
独立開業することで、経営の自由度が大幅に向上します。働く時間や場所、パートナー、営業方法なども自分で決めることができます。
手数料なども法律で定められている範囲であれば、自分で決めることができるので、友達や知人割引などの設定も自由です。
大きく稼げる可能性がある
独立開業することで、宅建士は大きく稼げる可能性が広がります。
不動産は需要が安定しており、一度の取引額が大きいので、手数料も大きくなりやすいです。そのため、仕組み化ができれば、年収1,000万円以上も夢ではありません。
宅建士の独立開業は儲かる?年収は?
宅建士の資格を持った人が会社で働く場合、年収は400~600万円ほどと言われています。
一方、独立開業後すぐは、稼ぎにくい業界です。
もちろん、最初から稼ぐ人もいますが、独立したての平均年収は200~300万円前後が多いようです。場合によっては、0円の場合もあります。
大手企業と違い実績や信用がないので、集客にも苦労して、大型案件の仕事も少ないです。地道に実績を積んで、人脈を増やして拡大していかないといけません。
では、一般的な不動産で独立した人の年収はいくらくらいかというと、400万円前後です。
これは、資本金1,000万円以下の1人で独立した人のおよその平均年収を概算で出しており、資本金が大きな企業はもう少し高い年収になるはずです。
ただし、苦しい時期を乗り越えて成功する人は、1,000万円以上稼ぐ人も少なくありません。
宅建士の独立開業の失敗例
宅建士が独立開業することは大いなる可能性を秘めていますが、同時に失敗のリスクも伴います。過去の失敗事例から学び、成功につなげていくことは重要です。
ここでは、宅建士が独立開業で陥りがちな失敗例に焦点を当ていきます。
資金繰りを甘く見積もってしまう
独立開業において最もよくある失敗例の一つは、資金繰りを甘く見積もることです。これは、営業運営に必要な経費や初期費用を十分に計画せず、予想以上の支出がかさむことを指します。
特に、初期費用はしっかり計画していても、毎月かかる運営費用は計算していないパターンです。
また、最初のころは十分な売上げが上がらないことが多いので、その分の費用も残しておく必要があります。
個人として活動する集客の難しさ
独立開業する宅建士にとって、集客は大きな課題となります。特に、個人として活動する場合、知名度や信頼性を築くまで集客が難しいです。
集客を成功させるためには、WEBサイトやSNS、自分の人脈を利用して、コツコツ地道な努力が必要です。特に、独立開業前から積極的に交流の場所に行って、同業者などともかかわりながら、人脈を増やしていきましょう。
実務経験がなく細かい作業ができない
宅建士が独立する際に、実務経験が不足している場合、細かい作業に対処する難しさがあります。特に、今まで会社で営業に特化していた場合、他の事務作業ができないでしょう。
しかし、自分1人で独立開業した場合、すべての業務を行う必要があるので、少しずつでも覚えていかなければなりません。
もし、資金に余裕があるのであれば、事務員を採用するなどで賄うこともできます。
開業場所を間違える
独立開業において、事業を展開する場所の選定は極めて重要です。場所を間違えることで、ターゲットとするクライアント層との接点が減り、集客の難易度が上がります。
また、収入となる手数料は物件価格や土地価格によって変動するので、独立開業前にしっかり調査しておく必要があります。
しかし、いい条件の土地では競合も多くなり、苦しむ場合もあるので、その辺も考慮すべきです。
宅建士の独立開業で失敗しないためのコツ
宅建士が独立開業する際には、失敗しないための様々なコツがあります。ここでは、宅建士が独立開業する際に陥りがちな失敗を防ぐための具体的な行動に焦点を当て、成功のためのポイントを探ります。
顧客管理・ニーズを適切に把握する
独立開業する宅建士にとって、顧客の管理とそのニーズを正確に把握することは重要です。顧客の要望や期待を理解し応えることで、信頼を築くことができます。
例えば、購入希望条件、価格、顧客の思いなどを汲み取り、情報をいち早く察知して提案することが大事です。
業界や政治経済の情報に敏感になる
宅建士が独立開業する際には、業界や政治経済の情報に敏感であることが必要です。
不動産市場や法律、経済政策の変動は日々起こっています。これらの情報を把握することで、的確なアドバイスやサービス提供が可能となります。
顧客からの信頼を得る
独立開業する宅建士にとって、信頼は最も重要な要素の一つです。
顧客からの信頼を得るためには、正確かつ透明な情報提供、誠実な対応、契約や取引における誠実性が欠かせません。
また、信頼性をいち早く獲得したい方は、フランチャイズとして開業することもおすすめです。
様々なリスクを想定して準備する
独立開業する際には様々なリスクを想定し、それに備えることは重要です。
法的なリスクや市場変動、予期せぬトラブルに対処するための対策を考え、十分な準備を行うことが必要です。
宅建士の独立開業におすすめのダブルライセンス
宅建士が独立開業を考える際、スキルの幅を広げ、クライアントに対してより多岐にわたるサービスを提供するためには、複数の資格やライセンスを持つことが有益です。
ここでは、宅建士におすすめのダブルライセンスについて検討してみましょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)
宅建士が独立開業する上でおすすめの一つが、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格です。
これは、お金の専門家としてクライアントに対して資産運用やライフプランニングのアドバイスを行う資格です。
不動産とお金はとても大きく関係しており、特に不動産で資産運用を行う方には有益なアドバイスをできます。試験科目にも不動産があるので、宅建士の方には少し有利かもしれません。
行政書士
もう一つのおすすめのダブルライセンスが、行政書士の資格です。
行政書士は、法的な書類や手続きに関する専門的な知識を持ち、クライアントがスムーズに事務手続きを進めるのをサポートします。
行政書士の資格を持つことで、宅建士は不動産取引における法的な側面にも精通し、クライアントが円滑に取引を進める手助けができます。
さらに、行政書士でしかできない仕事も自社で行うことができるので、コスト削減ができ、顧客にもその分還元ができるでしょう。
マンション管理士
独立開業を考える宅建士にとって、不動産管理業務にも精通しているほうがです。そのため、マンション管理士の資格もおすすめの一つです。
これは、共同住宅の管理業務に関する専門知識を有する国家資格であり、クライアントに対してより幅広いサービスを提供できます。
例えば、マンションでのトラブル解決や管理上のアドバイス、マンション管理業者がしっかりしているかの確認もできます。
マンション購入者や賃貸契約者は、初めての物件で不安なことが多いので、マンションに詳しい方が担当だと安心できるでしょう。
まとめ
本記事では、宅建士の独立開業について詳しく解説しました。
宅建士試験に合格後、資格登録や宅建士証の交付、宅地建物取引業免許の取得など様々な申請が必要です。
保証制度や保証会社、事務所の条件など細かく規定されているので、しっかり把握したうえで独立開業しましょう。
宅建士の独立開業の失敗例
・資金繰りを甘く見積もってしまう
・個人として活動する集客の難しさ
・実務経験がなく細かい作業ができない
・開業場所を間違える
宅建士の独立開業で失敗しないためのコツ
・顧客管理・ニーズを適切に把握する
・業界や政治経済の情報に敏感になる
・顧客からの信頼を得る
・様々なリスクを想定して準備する
詳細は本文で解説しているので、宅建士で独立・開業したい方は参考にしてください。
この記事に関連するキーワード
シェアする
https://ikuraya.jp/fc/column/independence/real-estate-independence
URLをコピー
この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。