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開業前に購入したパソコンは経費計上できる?経費計上できる開業費を解説
開業前に購入したパソコンは経費計上できるのでしょうか。この記事では、購入したパソコンが開業費として計上できるのか、経費計上できる開業費について解説します。これから開業する人は参考にしてください。
この記事の目次
経費や開業費とは
開業費とは、事業を始めるまでにかかる特別に支出する費用のことです。
開業費には、
- HP作成費用
- 名医師や印鑑の作成費用
- 広告費用
- 通信費用
- 事業を始めるために必要な交通費
- セミナー受講費
などがあります。
一方、経費とは、事業でかかる費用のことです。経費は、交通費やスマホ代、飲食代などがあります。
開業費を経費として計上することで得られるメリットが2つあります。
1つ目が、節税できることです。税金は収益から経費を引いた金額に課税されて算出されるので、経費が多いほうが税金は下がります。
2つ目は、「繰延資産」として扱われるので、複数年で分割して経費計上できることです。
一般的には、開業年より次年度以降の経営が軌道に乗ってきたタイミングのほうが収益が出やすいので、複数年で分割計上できるのは大きなメリットです。
開業費の経費計上の方法
開業穂の経費計上の方法は2つあります。以下では、2つの方法を詳しく説明していきます。
均等償却
金額を60か月で割って、毎年同じ金額を経費計上する方法です。
毎年同じ金額を経費計上するので、きっちり把握したい方に向いています。これは、60カ月より少なくしたり、多くすることができないので、注意しましょう。
任意償却
利益がたくさん出た時に、経費計上できる方法です。
つまり、収益がたくさん出て税金が高くなりそうなときに、経費計上することで、節税効果を高めることができます。
もし、均等償却の場合、経営が苦しく収益が少ないときにも経費計上することになるので、節税効果が薄れてしまう可能性があります。
開業費の仕訳と仕訳例
開業費は繰延資産と扱われると先程も説明しましたが、それには理由があります。それは、開業前に行う準備があり、今後も事業を続けることができるので、開業年だけでの経費にしないという方針だからです。
ここでは、実際に開業前に購入した開業費をどのように仕訳するべきかを例を用いて説明します。
開業前に文房具を2,000円分購入
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
開業費 | 2,000円 | 元入金 | 2,000円 | 文房具購入 |
開業前に購入した場合、借方勘定科目は「開業費」です。一方、開業後に購入した場合は、「事務用品費」に変更になります。
そして、貸方勘定科目は「元入金」ですが、開業後に購入した場合は「現金」となります。
経費計上できる開業費
開業費の中には、経費計上できるものとできないものがあります。ここでは、経費計上できるものをお伝えします。
個人事業主の場合
- 交通費
- 通信費
- 打ち合わせ費
- 取引先への手土産費
- 広告費
- パソコン購入費
- 開業までの借入金利子
- HP作成費用
- 賃料
- 水道光熱費
- セミナー参加費
などがあります。
法人の場合
- 研修費
- 広告費
- 調査費
- 印鑑作成費
- 名刺やチラシのデザイン・印刷代
- その他特別支出
などがあります。
以下では、その中からいくつか代表的なものを説明していきます。
パソコンや周辺機器の購入費
パソコンは事業に必要な物なので、開業費として経費計上できます。ただし、後ほど説明しますが、開業費として計上できるのは10万円以内のパソコン周辺機器です。
10万円を超えるパソコン機器の場合は固定資産として減価償却しないといけません。
通信費
通信費も取引先や関係者と連絡を取るのに必要なので、経費計上が可能です。
ただし、営業開始以降も通信費がかかるので、開業費として計上できるのは、営業開始までとなっています。
事務所の賃料
事務所も事業を開始する際に必要なので、開業費として経費計上可能です。しかし、敷金や礼金は開業費として計上できません。
また、敷金は退去時に返されるので、資産として扱われます。
名刺やチラシのデザイン・印刷代
名刺やチラシのデザインや印刷代も、開業費として経費計上可能です。しかし、事業開始後は広告費として扱われます。
また、HP作成費用なども開業費用として計上できます。
調査費
調査費も開業費として経費計上できます。調査費は競合の調査やサービス・商品の調査、市場動向調査など様々です。
また、調査のために購入した本なども含まれます。
経費計上できない開業費
続いては、経費計上できない開業費について説明します。こちらも個人事業主と法人では異なるので、別々で見ていきます。
個人事業主と法人で異なる
個人事業主の場合
- 10万円以上のもの
- 商品の仕入れ代金
- 敷金・礼金
10万円以上するものは開業費ではなく、固定資産として減価償却します。商品の仕入れ代金は、売り上げに直結するので、売上原価として計上します。
法人の場合
- 事務所の賃料
- 事務所の水道光熱費
- 10万円以上のもの
- 商品の仕入れ代金
- 敷金・礼金
開業費として経費計上できないものに関しては、個人でも法人でもそこまでの差はありません。
開業日前の費用も経費計上可能
開業費は、開業日までに購入した費用なども経費として計上することができます。開業費用は営業開始日までと決まっていますが、計上の開始日までは明確な決まりはありません。
そのため、数年前までの費用も計上可能です。しかし、数年前のものとなると、税務調査で認められない可能性が高いです。長くても1年前くらいのものを経費計上するようにしましょう。
パソコンを開業費で経費計上できる価格は?
パソコンは個人事業主が開業前に購入した場合、開業費として処理できます。パソコンは購入金額によって経費の計上方法が異なるので、金額ごとの計上方法の違いを見ていきます。
開業費 | 一括償却資産 | 少額減価償却資産の特例 | 固定資産として減価償却 | |
10万円未満 | 〇 | × | × | × |
10~20万円 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
20~30万円 | × | × | 〇 | 〇 |
30万円以上 | × | × | × | 〇 |
10万円未満のパソコン
10万円未満のパソコンを購入した場合は、開業費として計上が可能です。そのため、均等償却か任意償却かを選び、複数年にわたって償却していきます。
10~20万円のパソコン
10~20万円未満のパソコンの場合、以下の3種類の方法で計上処理ができます。
【一括償却資産】
個別に減価償却せずに、年度内のいつ購入しても使用した年から3年で均等償却する制度です。月割計算をしないことに注意しましょう。
一括償却資を選ぶのにおすすめの人は、収益が特別多くなく、経費を翌年以降にも持ち越したい人です。
【少額減価償却資産の特例】
取得した年に一括して経費計上できる制度です。少額減価償却資産の特例を選ぶのにおすすめの人は、その年の収益が大きい人です。
少額減価償却資産の特例は、上限が300万円までと決まっています。また、青色申告している個人事業主か中小企業に限られています。
【固定資産として減価償却】
パソコンの耐用年数によって減価償却します。しかし、一般的には上記の➀か➁で処理する方が多いです。
20~30万円のパソコン
20~30万円未満のパソコンの場合、上記で説明した➁少額減価償却資産の特例か➂固定資産として減価償却するかの2択です。
パソコンを購入する台数によってどちらにするか決めるのもいいでしょう。
例えば、複数台購入し収益がそこまで高くない場合、少額減価償却資産の特例にしてしまうと、もったいないので、減価償却しましょう。
30万円以上のパソコン
30万円以上のパソコンの購入の場合、固定資産として減価償却する一択です。
パソコンの耐用年数は、サーバーとして利用する場合は5年で償却、一般のパソコンは4年となっています。
個人事業主と法人で異なる開業費
先程も法人と個人事業主で開業費に含まれるものの違いを説明しましたが、個人事業主の場合は特別な支出だけでなく、通常のかかる費用も開業費に含めることが可能です。
逆に、法人の場合は通常のかかるものは、開業費ではなく、初年度の経費になります。
また、法人の場合は、会社設立前にかかった費用を「創立費」として処理して、会社設立後にかかった費用を「開業費」として処理します。
そして、法人の場合、パソコンを開業費や創業費として計上が難しいので、通常の経費として計上します。
パソコンを現物出資する場合の経費処理
パソコンを現物出資して利用することもあります。現物出資とは、現金ではなく、もので出資することです。
ただ、現物出資する場合と購入した時は同じように経費計上を行って大丈夫です。
なので、10万円以内のパソコンの場合は開業費(法人の場合は消耗品費)、その他にも金額によって一括償却資産、少額減価償却資産の特例、固定資産として減価償却のいずれかで経費計上しましょう。
開業費にパソコンを購入するときのポイント
パソコンを購入する際には、注意事項もあります。以下では、2つに分けて説明していきます。
レシートや領収書を残しておく
購入したレシートや領収書は残しておきましょう。レシートや領収書がない場合、証明できず、認められない可能性があります。
もし、パソコン購入以外でレシートや領収書を残すことができない以下のような場合、出金伝票として残すことがおすすめです。
- 慶弔費用
- 少額の交通費
- 割り勘で支払った接待費用
パソコン本体に加え周辺機器や設定費用も経費計上できる
パソコンは、本体だけでなく、周辺機器や設定費用も合わせて経費計上できます。例えば、モニター、キーボード、マウス、設定費用を本体代金に加えることができます。
この時の注意点は、本体だけでは10万円を超えなくても、周辺機器を合わせると10万円を超えてしまうような金額の時です。金額によって計上方法が異なるので、注意しましょう。
まとめ
本記事では、開業費について詳しく解説しました。
個人事業主はパソコンを開業費として計上できるが、法人の場合は、パソコンは一般的な経費として計上します。また、開業費の明確な計上開始日は決まっていませんが、税務調査を考えると長くても1年前までのものを計上処理しましょう。
経費計上できる開業費
・パソコンや周辺機器の購入費
・通信費
・事務所の賃料
・名刺やチラシのデザイン・印刷代
・調査費
開業費にパソコンを購入するときのポイント
・レシートや領収書を残しておく
・パソコン本体に加え周辺機器や設定費用も経費計上できる
詳細は本文で解説しているので、開業費について知りたい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。