カフェを開くには何が必要?開業資金や資格、成功のためのポイントを解説
独立・開業
儲かるデイサービスを開業するには?資金や資格と失敗しないコツを解説
デイサービスの開業を考えている人の中には、実際に開業するとなると「何から始めたらいいのかわからない」「どれくらい儲かるのか知りたい」といった方も多いでしょう。
この記事では、デイサービスの開業は儲かるのか、開業資金や資格、失敗しないコツについて解説します。これからデイサービスを始めたい方は参考にしてください。
この記事の目次
デイサービスとは?
デイサービスは通所介護と呼ばれており、要介護者が自宅で自立した生活をできるようにサポートする施設です。そんなデイサービスにはどんな種類があり、仕事内容や需要はどうなっているのでしょうか。
デイサービスの種類や仕事内容
デイサービスの種類を以下の表で見ていきます。
デイサービスの種類 | 利用者の対象 |
通所介護 | 要介護1~5の認定者 |
介護予防通所介護 | 要支援1・2の認定者 |
認知症対応型通所介護 | 要介護1~5の認定者、認知症の症状がある人 |
介護予防認知症対応型通所介護 | 要支援1・2の認定者、認知症の症状がある人 |
デイサービスは、高齢者や障害者が家から施設を訪れ、リハビリや生活支援を受けるサービスです。
デイサービス施設では、食事や入浴など日常生活の一部を提供し、利用者同士が交流して社会とのつながりを維持できるようサポートします。
身体機能を回復させるための手段として、ゲームやカラオケなどを取り入れて、楽しく過ごせる工夫が必要です。
また、健康管理や相談、アドバイス等も提供して、介護に対する不安の軽減もします。送迎も行っているので、自分で施設に行けない方も安心して通うことが可能です。
デイサービスの需要や市場規模
デイサービスを開業しようとしている人にとって、市場動向や需要は気になるところでしょう。
デイサービスの利用者数は2019年まで右肩上がりで成長しており、そこからは横ばいか減少傾向にあります。
しかし、これはコロナ渦になって利用制限や利用を控えていた人もいる可能性があるので、需要が減っているとは言いにくいです。
逆に、高齢化社会の現代では、ますます利用者数は増えていくとも言われています。
また、デイサービスの請求事業所数は2017年まで右肩上がりで、それ以降は横ばいか減少傾向です。その中でも、定員が18人以下の事業所は減少しているのに対して、19人以上の事業所は増加傾向となっています。
デイサービスの開業は儲かる?平均年収は?
デイサービスの開業を考えている方にとって大事なこととして、収益がどれくらい上がるのかがあります。どれくらい儲かるのかを知るために収益構造と平均年収を見ていきます。
収益構造の仕組み
まず、デイサービスの収益は1回〇〇円という仕組みではなく、「単位数×等級=売上」で計算されます。
介護サービスの負担額は、利用者が1~3割負担、税金が7~9割負担となっています。以下で詳しく見ていきますが、1単位は10円で計算すると大体の計算が可能です。
表に記載しているのは、5時間以上6時間未満の場合の単位数です。これらは利用時間によって変動します。
要介護度 | 通常規模型通所介護 |
要介護1 | 567単位 |
要介護2 | 670単位 |
要介護3 | 773単位 |
要介護4 | 876単位 |
要介護5 | 979単位 |
上記にプラスして、個別加算があります。例えば、個別訓練や入浴、栄養改善など数十種類あります。
収益シミュレーション
ここでは、1単位10円、自己負担額1割で計算します。
例えば、要介護2の人が週2回デイサービスに通う場合、
670単位×8回=5,360単位
5,360単位×10=53,600円
利用者が負担して支払う額は、この金額の1割の5,360円です。後の9割に関しては、介護請求を行い、翌々月に国保連から支払いが行われます。
平均年収
デイサービスを開業した方の平均年収は500~1,000万円ほどと言われております。利用者数が増えるほど利益が上がりやすいので、小規模だと大きく儲けることは難しいでしょう。
例えば利益の話でいうと、15人以下の施設の場合だと400万円前後、15人ほどの施設の場合だと1,000万円ほど、20人ほどの施設の場合だと1,500万円ほどの利益となります。
これは、利益の話になるので、ここから必要経費を引いた金額が年収となります。
デイサービスの開業に必要な資金
デイサービスの開業資金は、600~1,000万円以上とかなり幅があります。これは、規模や立地によって異なるためです。
項目 | 資金 |
法人設立費 | 10~25万円 |
物件取得費 | 200~350万円 |
内装工事費 | 250~500万円 |
車両購入費 | 100~300万円 |
設備・備品費 | 50~100万円 |
広告宣伝費 | 50万円 |
法人設立費は、株式会社が約25万円、合同会社と一般社団法人が約10万円です。
物件取得費は、賃料の6~10か月が相場となっています。
内装工事費は、バリアフリー等のリフォームが必要なので、高めに見積もっておくといいでしょう。
車両費は、新車か中古車かによっても変わってきて、中古だと100万円前後であります。車にはスロープがついている必要があり、車いすも準備が必要です。
設備・備品費は、業務を行うのに必要な厨房、お風呂、器具、机、いすなどです。
広告宣伝費は、方法によって異なりますが、お金をかける場合は100万以上かかることもあります。
デイサービスの開業資金の調達方法
デイサービスを開業するのに資金調達を行う必要があります。以下でその方法を3つ紹介します。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。
しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資
借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資
保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
新創業融資制度
新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
新規開業資金
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
デイサービスの補助金・助成金で利用されるものをいくつか紹介します。
人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)
新たな介護福祉機器を導入して従業員の離職率の低下に取り組む介護事業主に対しての助成金
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する事業者に対しての助成金
トライアル雇用奨励金
職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に受けられる助成金
メリット
補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット
補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
デイサービスの開業に必要な資格や条件
デイサービスの開業には、必要要件を満たし、条件に従わなければなりません。ここでは、開業するための資格や条件について解説します。
法人格の取得
介護施設を開業するためには、個人事業主ではいけないので、必ず法人を設立する必要があります。
法人の種類は「株式会社」「合同会社」「NPO法人」「医療法人」「一般社団法人」「社会福祉法人」など様々です。以下で、それぞれの特徴やメリットについてお伝えします。
法人格の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
株式会社 | ・営利目的で経営する ・出資者に利益の配分を行う |
・社会的信用が高い | ・設立費が高い |
合同会社 | ・営利目的で経営する ・出資者も経営する ・利益配分が自由 |
・設立費が安い ・リスクが少ない |
・社会的信用が株式会社より低い |
NPO法人 | ・非営利組織 ・利益配分を行わない |
・法人税が課税されない | ・理事3名、監事1名、社員10名が必要 |
医療法人 | ・営利目的で経営する ・病院・医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設する組織 |
・社会的信用が高い | ・法人化に伴う管理業務が増加 |
一般社団法人 | ・非営利組織 ・登記手続きが簡単 |
・社会的信用が高い | ・利益分配を社員に行えない |
社会福祉法人 | ・非営利組織 ・様々な福祉施設の運営 |
・多くの補助が受けられる ・税制優遇措置 |
・設立・運営条件が厳しい |
7割以上の事業者が株式会社や合同会社のような営利企業となっています。
それぞれ比較して、自分に合っているものを選びましょう。
人員基準
人員基準とは、デイサービスの開業・運営に必要な基準の1つです。
職種・役職名 | 配置基準 | 資格要件 |
管理者 | 1人以上 | なし |
生活相談員 | 1人以上(兼務可) | 社会福祉士 精神保健福祉士 社会福祉士 |
看護職員 | 1人以上 | 看護師 准看護師 |
介護職員 | 利用者数が15人までは1人以上 利用者数が16人以上は1人増えるごとに+0.2人 |
なし |
機能訓練指導員 | 1人以上 | 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 看護師 准看護師 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 はり師・きゅう師 |
生活相談員か介護職員はどちらか1名以上は常勤でないといけないです。
設備基準
設備に関しても基準が設けられているので、紹介していきます。
設備 | 基準 |
食堂及び機能訓練室 | 利用者1人に対して合計面積が3㎡以上 |
相談室 | プライバシーへの配慮のためにパーテーションや個別の部屋が必要 |
事務室 | 机、イス、書庫、鍵付きのキャビネットが必要 広さ規定はなし |
静養室 | 静養室専用ベッドの設置が必要 広さ規定はなし |
トイレ | 手すりや緊急呼び出しのコールの設置が必要 |
厨房 | 衛生管理をできる環境が必要 |
浴室 | 脱衣場・浴槽の設置が必要 |
消防設備 | スプリンクラー・消火器の設置が必要 |
運営基準
運営基準が設けられています。ここでは、いくつかを抜粋して紹介します。
- 内容及び手続の説明及び同意
- 提供拒否の禁止
- サービス提供困難時の対応
- 受給資格等の確認
- 要介護認定等の申請に係る援助
- 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
- 居宅サービス計画等の変更の援助
- 身分を証する書類の携行
- サービスの提供の記録
- 利用料等の受領
など、様々な運営基準があります。
デイサービスを開業する流れや準備
デイサービスを開業するためには、様々なステップがありますが、これらを理解し進めていくことが成功の鍵となります。初心者でもわかりやすく、ステップごとに詳しく解説していきます。
法人を設立する
まず最初に、デイサービスを開業するには法人を設立する必要があります。
法人の設立は、どの方法で設立するかを決めて、登記や定款作成等の手続きが必要です。
料金は株式会社を設立する場合が約25万円、合同会社が約10万円です。もし自分で行えない場合は、行政書士などに依頼しましょう。
事業計画書を作成する
次に、デイサービスを開業するためには、事業計画書を作成することが欠かせません。
事業計画書は将来の事業展望や運営方針、経営計画、収支見通しなどをまとめたものであり、これを作成することでビジョンを共有しやすくなります。
また、金融機関からの融資を受ける際にも事業計画書が必要です。
開業資金の調達を行う
デイサービスを開業するためには、十分な開業資金が必要です。
資金の調達方法は複数あり、銀行融資や補助金の活用などが考えられます。開業時に必要な資金だけでなく、運営資金も考えておきましょう。
国連保からの振り込みは翌々月からになるので、最初から売り上げの調子が良くても、人件費は最低2カ月分の準備が必要です。
立地や物件を決める
デイサービスの成功には、立地や物件の選定が重要です。
定員に対しての面積の規定があり、基準を満たす場所を見つけないといけません。
利用者にとってアクセスしやすく、またスタッフにとって働きやすい場所を見つけることが必要です。コンセプトや賃料も考えて物件を探しましょう。
スタッフを採用する
デイサービスの運営には信頼できるスタッフと人員基準を守ることが必要です。
求人をして、面接、採用という流れです。人員基準の所でもお話ししましたが、利用者数に応じて必要人数が変わるので、開業前に施設の経営方針をしっかり固めておきましょう。
物件の改装と設備を整える
デイサービスの物件は、利用者が快適に過ごせるように改装が必要です。
設備基準があるので、基準を満たすように設計しましょう。改装の際には、施設の特性に合わせた工夫やアクセシビリティの向上に努めることが求められます。
バリアフリー設計が必要なので、費用を多めに見積もっておくことが大事です。
指定申請を行う
デイサービスを開業するためには、行政からの許可を受けるための指定申請という申請手続きが必要です。
この際に、指定基準を満たしている証明書類を提出します。期日はその都道府県によって変わりますが、開業月の2カ月前の末日と定められていることが多いです。
必要書類や条件がわからない場合は、早めに窓口に相談しておきましょう。
集客活動を行う
最後に、デイサービスを運営するためには利用者を集めることが不可欠です。
開業前から、HP作成やSNS、名刺作成、チラシ配布など様々な方法で集客を行いましょう。ケアマネージャーを招待して、内覧会を行うことも多いです。
そのほか、病院や他の介護支援団体、地域の老人クラブなどに告知することも有効です。
デイサービスを開業して失敗しないためのコツ
デイサービスの開業は、競争が激化しており、成功するためには様々な工夫が必要です。デイサービスで黒字化できるために、初心者でも理解できるように、失敗しないためのコツを解説します。
競合に負けない独自性のあるコンセプトにする
デイサービスを成功させるためには、競合他社との差別化が不可欠です。
独自性のあるコンセプトを持つことで、顧客の心をつかみ、競合に勝ち抜くことが可能です。
例えば、ホテルのようにきれいな雰囲気の施設、ある分野に特化したサービスを持つ施設などのように、顧客にアピールできるポイントを作りましょう。
競合調査を入念に行い需要の高いエリアで開業する
失敗を避けるためには、事前の競合調査が欠かせません。
競合他社の強みや弱みを知り、それを踏まえた上で需要の高いエリアでデイサービスを開業することが重要です。
もし開業してから集客しにくいことがわかっても、簡単に施設を移動できません。顧客だけでなく、スタッフも通いやすいところにすると離職率も減るでしょう。
スタッフが働きやすい環境を心掛ける
デイサービスの成功には、スタッフが働きやすい環境が不可欠です。
スタッフがモチベーションを保ち、安心して働けるような環境づくりが求められます。介護業界は給料が安めに設定されていることが多いので、平均より高めに設定することで人材を集めやすいでしょう。
また、何よりも働いていて楽しい環境だと働きやすいので、環境が悪いところがあれば、随時見直すことが重要です。
効果的な集客とリピーター作りを行う
デイサービスを運営する上で、集客とリピーターの獲得は不可欠です。
集客に関しては、地域住民へのチラシ配布や関連施設から紹介を貰うことが重要です。無料体験会も積極的に行いましょう。
リピーター獲得に関しては、一度利用してもらった方に満足してもらうことが重要です。そのためには、スタッフや利用客が楽しそうにしていることが大事なので、日頃から施設内の環境を明るく保ちましょう。
デイサービス開業で成功した人の話を聞く
デイサービスや介護施設の経営者の話を実際に聞くことが重要です。
開業までのプロセスや開業資金などを調べても、実際にどうなのかは体験した人でないとわかりません。想定外の出来事が起きる可能性も十分考えられます。
話を聞くことで成功までの近道を知り、しなくてもいい失敗を避けるべきです。セミナーやYouTubeなどの動画などを調べて、一度聞いてみましょう。
まとめ
本記事では、デイサービスの開業について詳しく解説しました。
デイサービスは通所介護と呼ばれており、要介護者が自宅で自立した生活をできるようにサポートする施設です。
デイサービスの収入は、時間や要介護度などによって変わり、お客様負担金以外は国連保に請求する必要があります。
デイサービスを開業する流れや準備
・法人を設立する
・事業計画書を作成する
・開業資金の調達を行う
・立地や物件を決める
・スタッフを採用する
・物件の改装と設備を整える
・指定申請を行う
・集客活動を行う
デイサービスを開業して失敗しないためのコツ
・競合に負けない独自性のあるコンセプトにする
・競合調査を入念に行い需要の高いエリアで開業する
・スタッフが働きやすい環境を心掛ける
・効果的な集客とリピーター作りを行う
・デイサービス開業で成功した人の話を聞く
詳細は本文で解説しているので、デイサービスを開業したい方は参考にしてください。
この記事に関連するキーワード
シェアする
https://ikuraya.jp/fc/column/independence/day-service-opening
URLをコピー
この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。