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独立・開業

介護タクシーは儲かる?開業方法9STEP・必要資格と失敗しないコツ

介護タクシーは儲かる?開業方法9STEP・必要資格と失敗しないコツ

介護タクシーで開業するための開業準備の手順や開業資金、補助金について知らない方も多いでしょう。この記事では、介護タクシーの開業方法9ステップ、必要資格、失敗しないコツについて解説します。介護タクシー業界で開業したい方は参考にしてください。

この記事の目次

介護タクシーの基礎知識

介護タクシーとは、高齢者や身体障害者などの1人では移動できない人を対象とした、特別な輸送サービスの一種です。

介護タクシーとは

介護タクシーは、高齢者や要介護者など1人で移動ができない人のために、専用の車両を使用し移動を提供するサービスです。

これらの車両は、車いす対応やバリアフリー仕様であり、要介護者が安全かつ快適に移動できるようになっています。

また、運転手は要介護者のニーズに対応し、移動だけでなく乗降や車内でのサポートも行う(介護保険タクシーのみ)のが特徴です。

国家資格ではありませんが、運転免許や管轄運輸局の事業許可の取得が必要です。保険が適用されるサービスと適用されないサービスがあり、次で違いについて解説します。

介護タクシーと介護保険タクシーの違い

介護タクシーと介護保険タクシーは、似たようなサービスを提供しますが、いくつかの違いがあります。

介護タクシーは、要介護者向けのサービスですが、介助サービスは行わず、送迎サービスのみを行います。また、介護保険は適用さないのも特徴です。基本的には家族などが同乗して介護を行います。

介護保険タクシーは、介護保険が適用されます。介護が必要な人に介助サービスを提供できるのも特徴の1つです。介護保険タクシーを開業するためには、介護職員初任者研修の受講が必須になるのを覚えておきましょう。

介護タクシーの需要と市場の動向

介護タクシーの需要は今後ますます高まると予測されています。高齢者の割合が増加し、要介護者の数も増加しているためです。

実際、国土交通省によると2012年から2021年の10年間で約28,000台の介護タクシーは増えています。

さらに、国土交通省は2025年度末までには約90,000台にするというバリアフリー目標を掲げています。つまり、今後も業界自体はますます発展していくでしょう。

介護タクシーの開業は儲かる?平均年収は?

介護タクシーで開業した場合の平均年収は、約400~450万円です。こちらは開業するエリアによっても大きく変わります。

介護タクシーの正社員で働く場合は約300万円なので、リスクはありますが、自分で開業するほうが年収は上がるでしょう。

高齢者が多い地域や複数のタクシーの運営をすることで1,000万円以上稼いでいる人もいます。

介護タクシーの開業に必要な開業資金・運営資金

介護タクシーを開業するのに必要な資金はいくらでしょうか。介護タクシーの開業資金を以下で解説します。

介護タクシーの開業資金

項目 金額
車両代 100~300万円
車庫代(1年間) 20万円
保険代(1年間) 10万円
車のメーター設置費 15万円
賃料 60~100万円
設備・消耗品費 20万円
普通自動車二種免許 20万円
介護職員初任者研修 10万円
運輸局登録免許税 3万円
合計 258~498万円

車両代金

軽自動車なら100~200万円前後、普通自動車なら300万円前後が目安です。

車庫代が20万円前後かかります。車両保険もかかり、10万円前後用意しておきましょう。

車庫代や保険代は立地や種類によって変わりますので、しっかり考えて決めることが重要です。

また、車のメーターと設置費用が約15万円かかるので、その金額も準備が必要です。

事業所や休憩所

開業するには事業所を用意する必要があります。賃料は立地や間取りによりますが、運転手が休憩するスペースを考えると、賃料10万円以上の物件の確保が必要になるでしょう。

物件取得費は、一般的に賃料の6カ月~10か月分がかかるので、計算して準備しておきましょう。もし、自宅や所有物件で開業できる場合は、費用を抑えることができます。

設備や消耗品など

開業するためには、車いすや机、いすなど多くのものが必要です。20万円前後準備しておきましょう。

最初に購入しなくてもいいものは、徐々に購入していくのもいいでしょう。

免許や資格・運輸局登録免許税

介護タクシーを運転するために、普通自動車二種免許を取得しましょう。料金は約20万円です。

介護保険タクシーを運転する場合、介護職員初任者研修の取得もしましょう。料金は約10万円前後です。

運輸局登録免許税3万円の納付も必要です。これは、運輸局への許可申請後、法令試験と事情聴取を実施、そして許可証が発行された場合に支払います。

介護タクシーの運営資金

運営資金はスタッフの人数や賃料によっても変わってきます。大体1人当たりの給料は、20~25万円前後です。

他には賃料、光熱費、広告宣伝費、雑費などかかります。スタッフが1人と仮定した場合、運営資金は月々40~50万円ほど見ておきましょう。

介護タクシーの開業で利用できる助成金・補助金

ここでは、介護タクシーの開業に役立つ助成金と補助金について説明します。

福祉タクシー車両導入促進事業費補助金

神奈川県や千葉県が対象で、高齢者や障害者の交通手段の確保や充実した移動環境を作るための補助金です。

福祉有償運送事業者等が福祉タクシーを購入するのに必要な費用の一部を助成する制度です。金額は条件によって異なります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者や特定非営利活動法人の生産性向上や事業発展を目的とした補助金です。

地域の商工会議所のサポートを受けながら経営計画書を作成し、販路開拓や業務の効率化を行った場合、費用の3分の2(上限50万円)を補助してもらえます。

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者が社内でキャリアアップするのを促進する取組を行った場合の補助金です。

対象は6か月以上雇用したアルバイトや契約社員を正社員にキャリアアップさせた場合です。支給額は1人当たり57万円となっており、20人まで申請できます。

地域公共交通確保維持改善事業費補助金

公共交通のバリアフリー化を目的にした国土交通省が支援する補助金です。

タクシー車両や設備などにバリアフリーを導入するために費用の3分の1を補助してくれます。

地域雇用開発助成金

雇用機会が失われている地域で新しい事業を設けて、その地域の方を採用し雇用した時に受けられる助成金です。

年間で最大3回受け取りができます。1回目の受け取りは雇用に関する計画書の提出をして、2.3回目は一度雇用した方が在籍し続けていないと給付されません。

給付額は以下の通りです。詳しい条件などは厚生労働省のHPを参考にしてください。

設備・整備費用\対象労働者の増加人数(創業の場合の人数) 3(2)~4人 5~9人 10~19人 20人~
300万円以上 50万円 80万円 150万円 300万円
1,000万円以上 60万円 100万円 200万円 400万円
3,000万円以上 90万円 150万円 300万円 600万円
5,000万円以上 120万円 200万円 400万円 800万円

※令和5年4月1日以降に計画書を提出した場合

介護タクシー開業に必要な資格

ここでは、介護タクシー開業に必要な資格について詳しく説明し、初心者にも理解しやすいように解説します。

普通自動車第二種免許

介護タクシーを運転するために必要な資格は、普通自動車第二種免許です。

これは、乗客を乗せて運転するため免許で、タクシーやバスなどの運転に必要です。普通免許取得後3年以上経過していることなどの条件があります。

免許を取得する講習は、特定教習、学科教習、技能教習の3つに合格する必要があります。

​介護職員初任者研修(介護保険タクシーの場合)

介護保険タクシーを運転する場合、お客様の乗降サポートや介助を行うことがあるので、介護職員初任者研修の資格が必要です。この資格は2013年4月にホームヘルパー2級から名称が変更しました。

介護職員初任者研修では、9科目130時間の研修を受け、全カリキュラム修了後の試験に合格することで取得できます。

民間の介護スクールなどで取得することができ、年齢や学歴、資格の有無関係なく未経験でも試験の受講可能です。

介護タクシーを開業する方法

介護タクシーの開業方法は「法人で開業する」、「フランチャイズで開業する」の2つがあります。以下で詳しく説明します。

個人事業主で開業することも可能ですが、介護保険タクシーは法人格が必要となっています。

自分で法人として開業する

自分で法人を設立して開業すると、自分で事業内容を決めることができ決定権も自分なので、自由な経営ができるメリットがあります。

市場調査や競合調査を行い、開業地域やターゲット、価格帯などを決めましょう。

一方で、介護タクシーの開業は必要な準備や要件が決まっており、全て自分で行わないといけないのが大変です。

特に、自分で事業を行うのが初めての方は何をしたらいいのか途中で戸惑うこともあります。

また、集客を自分で行わないといけないのもデメリットの1つです。顧客を自分で見つけるためには、競合調査やマーケティングをしっかり行う必要があります。

フランチャイズで開業する

フランチャイズで開業する場合、既に成功しているブランドの力を借りて運営ができ、経営や研修などのサポートが充実しています。

成功しているブランドで事業を行うことで、顧客からの信頼がある状態でスタートができ、集客面でのメリットが大きいです。

また、フランチャイズ本部からのサポートを受けることで、事業を円滑に進めることができ、困ったことがあっても解決することができます。

一方で、フランチャイズで開業する場合、フランチャイズ加盟金やロイヤリティ(売上の一部を)の支払いが必要です。金額はフランチャイズによりますが、加盟金がない場合もあるので、しっかり複数社の事業内容や条件を確認しましょう。

他のデメリットは、経営方針に関してフランチャイズ本部で規制や条件が決まっているので、自分のしたい事業をそのままできない可能性があります。例えば、価格やサービス内容が統一されているなどです。

介護タクシーを開業する手順や要件

介護タクシーを開業するにあたり様々な要件が決まっており、正しい手順で手続きを行う必要があります。ここでは、手順や要件について詳しく説明します。

事業許可の要件を確認する

介護タクシーを開業するためには、国土交通省の運輸局から事業許可を得る必要があります。許可を得るための主な要件は、以下の3つです。

  • 人的要件
  • 設備要件
  • 資金要件

人的要件

人的用件で満たすべき要件は以下の3つあります。

  • 第二種運転免許を取得しているドライバーが常勤している
  • 運行管理者がいる(整備管理者とドライバーが兼任可能)
  • 整備管理者が常勤している(運行管理者とドライバーが兼任可能)

それぞれ兼任が可能なので、必ず3人別々の人を選ぶ必要はありません。

また、介護保険タクシーを運行させる場合は、介護職員初任者研修の資格を持っている人が必要です。もし持っていない場合は、取得するか、介護タクシーのみの運行にしましょう。

設備要件

設備用件で満たすべき要件は以下の4つあります。

・建築基準法・都市計画法・消防法・農地計画法などに抵触しなくて、3年以上の使用権限(土地・建物)を有する営業所があること。

・営業所や車庫と併設している休憩室があること。もし隣接できない場合、直線上2㎞以内にあれば可能。マンションなどでも問題ないですが、他の人が入れない独立した部屋である必要がある。

・リフト・スロープなどの設備がある福祉自動車が1台以上ある、または一般車両が1台以上あること。しかし、一般車両を運転する場合、介護福祉士・訪問介護員・居宅介護従業員・ケア輸送サービス授業者研修などの資格を持つ人が必要。

・建築基準法・都市計画法・消防法・農地計画法などに抵触しなくて、車両の長さ・幅+1m以上の介護タクシーを停車するスペースがある車庫があること。また、営業所に隣接が条件で、隣接できない場合は直線上2㎞以内にあれば可能。

資金要件

資金用件で満たすべき要件は以下の2つあります。

・所要資金の合計額の50%以上の自己資金がある

・事業開始当初に必要な資金の合計額の100%の自己資金を申請日以降も常に確保している

法人の設立を行う

法人登記をしましょう。登記は法務局で行い、株式会社や合同会社などの「営利法人」を設立するのが一般的です。

しかし、利益を目的としない「非営利法人」を設立する方もいます。非営利法人には、「NPO法人」「一般社団法人」などがあり、「営利法人」と「非営利法人」を比較して、自分の合っているほうで登記しましょう。

運輸支局へ許可申請書を提出する

要件を満たし、管轄の運輸支局へ許可申請を提出する必要があります。

申請書はA4版縦・横書き・左とじにし、各書類を3部作成します。1部は運輸局に提出、2部はこちらで保管します。

法令試験及び事情聴取を受ける

申請書が受理されてから、法令試験及び事情聴取を受けます。

試験方式は、○×方式や選択方式、簡単な筆記回答方式などであり、全30問を45分で回答します。法令集などの持ち込みは可能です。合格基準は80%以上なので、24問以上合っていれば合格です。

出題範囲は以下の通りです

  • 道路運送法
  • 道路運送法施行令
  • 道路運送法施行規則
  • 旅客自動車運送事業運輸規則
  • 旅客自動車運送事業等報告規則
  • 自動車事故報告規則
  • その他一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令等

許可証の交付をしてもらう

運輸局の許可申請が通れば、許可証を交付してもらえます。

交付されるまでの時期は申請から約2カ月ですが、不備等があれば、さらに長い時間かかるので注意しましょう。

登録免許税を納付・提出を行う

許可書の交付後、登録免許税(3万円)を期限までに納付する必要があります。これは、運輸局から受け取る納付書で支払いを行います。

納付ができたら、領収書原本を所定の届出様式に添付して運輸局へ提出が必要です。

運賃と約款の認可申請を行う

納付と領収書の提出後、運賃と約款の許可申請を行います。

基準に適していない場合、申請が却下されるので、しっかり各支局の基準通りに行いましょう。

介護タクシーで使う車両検査と登録を行う

その後、介護タクシーで使う車両の検査と登録を行います。

車両には以下の設備が必要です。

  • 車いす・ストレッチャーを乗降するためのリフト・スロープ
  • 回転式・リフトアップ式のシート

車両が基準をクリアし検査と登録が終わると、緑ナンバーの車に切り替わります。ここでの注意点は、車両の所有者の名義を事業者の名義にすることです。間違えて使用者名義にしないようにしましょう。

開業後に管轄運輸支局へ運輸開始届を提出

開業後は、許可証を受け取った日から6か月以内に、運輸開始届を提出しないといけません。運輸開始届のほかに以下のような書類も必要なので、準備しましょう。

  • 車検証のコピー
  • 任意保険本証のコピー
  • 運行管理者選任届
  • 整備管理者選任届
  • 指導主任者選任届
  • 就業規則のコピー
  • 労働保険・保険関係成立届のコピー
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届のコピー
  • 営業所・車庫・事業用車両の写真

用意するものが多く難しければ、行政書士に依頼するのもいいでしょう。

介護タクシー開業で失敗しないコツ

ここでは、介護タクシーの開業で失敗しないための重要なコツについて説明します。

開業までの準備は余裕をもって行う

介護タクシーの開業は、慎重な計画と十分な準備が不可欠です。

事業計画の作成や資金調達から様々な書類の提出までやるべきことがたくさんあります。事業を開始するまでに時間がかかるので、しっかりと計画を立てて進めることが必要です。

申請前に利益が出せる料金設定を行う

介護タクシーの運賃設定は、収益を上げるために非常に重要です。

運賃は、サービス提供のコスト、競合相手の価格、お客様の支払い能力などを考慮して決定する必要があります。

料金設定認可申請書を提出した後は簡単に料金を変更できないので、あらゆる角度から慎重に決めることが重要です。

介護事業所と関係作りはしっかり行う

介護タクシーの成功には、介護事業所や関連機関との協力が不可欠です。

地元の介護事業所と良好な関係を築くことで、信頼性と信用が高まり、収益の増加に影響します。これは、新規営業を行わなくても、介護事業所などからお客様を紹介してもらう仕組みを作ることができるということです。

定期的なコミュニケーションや相互協力をして、サービス提供の機会を拡大しましょう。

まとめ

本記事では、介護タクシーの開業について詳しく解説しました。

介護タクシーで開業するには、様々な要件をクリアする必要があり、準備に時間がかかります。

個人で法人を設立するか、フランチャイズで開業するかの2つの方法があり、それぞれのメリットとデメリットを比較して、自分に合ったほうで開業しましょう。

介護タクシーの開業で利用できる助成金・補助金
・福祉タクシー車両導入促進事業費補助金
・小規模事業者持続化補助金
・キャリアアップ助成金
・地域公共交通確保維持改善事業費補助金
・地域雇用開発助成金

介護タクシーを開業する手順や要件
・事業許可の要件を確認する
・法人の設立を行う
・運輸支局へ許可申請書を提出する
・法令試験及び事情聴取を受ける
・許可証の交付をしてもらう
・登録免許税を納付・提出を行う
・運賃と約款の認可申請を行う
・介護タクシーで使う車両検査と登録を行う
・開業後に管轄運輸支局へ運輸開始届を提出

詳細は本文で解説しているので、介護タクシーを開業したい方は参考にしてください。

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この記事の執筆者

フランチャイズ支援歴10年

松田 和也

大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。

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