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花屋を開業・経営するためには?仕事内容・資格・年収・開業資金を一挙解説
花屋は、自分の理想の店舗を作りやすいビジネスで、営業方針や販売戦略をしっかりしていれば、長期的な経営が可能です。この記事では、花屋の開業方法や開業資金などについて解説します。花屋で開業したい方は参考にしてください。
この記事の目次
花屋のサービス内容や特徴
花屋と言えば、一般的に花束やアレンジメントの提供を想像するかもしれませんが、実はさまざまなサービスが提供されています。
花屋の主なサービスは、生花の販売、アレンジメントの制作、ギフトラッピング、花の宅配、そして花のレンタルなどです。例えば、お客様の好みや予算に合わせたオーダーメイドのアレンジメント、誕生日や記念日に合わせて花の宅配サービス、会社の受付やサロンへのレンタルなどを行っています。
特徴としては、売値は仕入れ値の約2倍の所が多く、利益率は悪くありません。しかし、全ての花を枯れる前に売り切れるわけではないので、品質管理がとても重要です。
品質の管理や仕入れの量の管理をしっかり行うことが、花屋を開業するときに大切なことです。
花屋は、ただの生花の販売だけでなく、多岐にわたるサービスと深い専門知識を持つプロフェッショナルな存在として、人々の生活に彩りを与えれるようになりましょう。
花屋を開業するメリット
花屋を開業することには多くのメリットがあります。独自のコンセプトやビジョンを形にしやすいだけでなく、経営戦略によっては高い収入を得ることも可能です。そして、特定の資格が必要ない点も魅力の一つです。
店舗に理想を反映しやすい
花屋は、他のビジネスよりも独自性を出しやすい場所です。花屋は商品自体が色彩豊かで、空間をデザインしやすい特性があります。これにより、オーナーのセンスや個性を店舗デザインや商品展開に反映しやすくなります。
また、花のアレンジメント方法やどのような方をターゲットにするかでも大きく変わるので、自分の感性やセンスを生かしたい方にはおすすめです。
経営戦略を工夫すれば高収入も狙える
適切な経営戦略により、花屋でも高い収益を得ることが可能です。市場調査やターゲティングを行い、特定のニーズを満たす商品やサービスを提供することで、付加価値を高め、利益を増やすことができます。
例えば、冠婚葬祭やお祝いイベント用の花を中心に販売したり、レンタルサービスで年間契約を結ぶなど、個人販売ではないところで収益を上げることが重要です。
花屋は資格が不要で開業しやすい
特定の資格が不要なため、花屋は比較的開業しやすい業態です。日本において、花屋を開業する際に必須となる資格は存在せず、商品があれば開業自体はできます。また、店舗を持たずにオンラインでの開業もできるので、開業資金を抑えたい方にはおすすめです。
ただし、フラワーアレンジメントの技術や知識を身につけることで、信頼性や顧客満足度を高めることができるので、取得しておいた方がいいでしょう。
花屋を開業するデメリット
花屋を開業する際には、多くのメリットがありますが、一方で考慮すべきデメリットも存在します。花の管理や季節ごとの販売戦略、そして利益の問題など、事前に把握しておくべきポイントがいくつかあります。
花の品質管理が難しい
生鮮品である花の品質管理は、非常に繊細で難しいものです。花は生命を持った商品であり、適切な温度や湿度、照明などの環境を維持しなければなりません。生花の寿命は1週間程度で、花が開くと販売できないので、すぐに売る必要があります。
また、花の種類によって温度調節などバラバラなので、豊富な知識を持つことが重要です。
季節やイベントごとの販売が必要
花屋は季節やイベントごとの需要の変動が大きいため、それに合わせた戦略が求められます。例えば、バレンタインデーやホワイトデー、母の日などのイベント時期には需要が急増しますが、その反動で非シーズンは需要が落ち込む傾向があります。
いかにイベント時に売り上げを上げ、廃棄にならないように適切な量の仕入れをできるかが成功のカギです。
個人のお客様だけだと利益が上がらない
個人のお客様だけをターゲットにすると、十分な利益を確保するのが難しいです。個人のお客様は一度の購入金額が低く、イベント時だけ購入する傾向があります。
そのため、大口の取引先や法人顧客を持つことで、安定した収入を確保することが推奨されます。
花屋を開業するために必要な資金
花屋を開業する際、どれほどの資金が必要なのか知らない方も多いでしょう。ここでは、開業資金と運営資金についてお伝えします。
花屋の開業資金
花屋の開業資金は、300~1,000万円と幅が広いです。これは、店舗の広さや販売方法によって異なります。例として、家賃が15万円の花屋で見てみましょう。
項目 | 資金 |
物件取得費 | 75~120万円 |
内外装の工事費 | 100~200万円 |
什器や設備費 | 50~100万円 |
広告宣伝料 | 3~10万円 |
花や資材 | 20~60万円 |
車代 | 50~150万円 |
合計 | 298~640万円 |
物件取得費は、保証料(敷金)3~6カ月、礼金1か月、仲介手数料1か月分くらいがかかります。
花屋の開業費で大きな割合を占めるのが、内外装の工事費と車代です。内装や外装は自分の理想やこだわりが強いほど、お金がかかります。
花や資材は販売方法によっても異なります。あまり店頭での販売が多くないと、開業時はあまりかからないでしょう。
花屋の運営資金
花屋は店舗を運営していくのにも毎月お金がかかります。以下では、売り上げが150万円のお店でシミュレーションします。
項目 | 費用 | 売上からの目安 |
人件費 | 45万円 | 30% |
家賃 | 15万円 | 10% |
仕入れ費 | 45万円 | 30% |
資材費 | 15万円 | 10% |
広告宣伝費 | 2~5万円 | 1~3% |
合計 | 約120万円 | 約80% |
店舗運営していくと、人件費と仕入れ費は大きな割合になります。アルバイトばかりを雇うことで人件費を削減したり、注文してから仕入れする販売を中心にするなど工夫が必要です。
広告費はSNSを中心に行い、紙媒体でのチラシは数を減らして行う方法もいいでしょう。
花屋を開業した人の年収はどれくらい?
花屋を開業した人の年収はいくらくらいでしょうか。公的なデータはありませんが、200~400万円と言われています。先程のシミュレーションした店舗が平均年収くらいです。
やはり、日本人の平均年収よりやや下回る年収なので、あまり高いとは言えません。年収が高い店舗は、法人などと契約している店舗や冠婚葬祭をメインに事業を行っている店舗が多いです。
花屋開業のための資金調達法
花屋を開業するにあたって開業資金が必要です。こちらでは、主な資金調達の方法を4つ紹介します。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資…借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資…保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
「新創業融資制度」…新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
「新規開業資金」…新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
メリット: 補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット: 補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
家族や知人から借りる
家族や友人からお金を借りる方法もあります。これは、信頼関係がある人から資金を調達することです。
メリット: 低金利または無利子で借りることができる場合があり、返済条件が柔軟であることが多いです。信頼できる人からの借入は、ビジネスの成功に向けて力強いサポートとなることがあります。
デメリット: お金を借りることは、関係を悪くする可能性があるため、注意が必要です。また、お金を返済する責任がありますので、返済計画をしっかりと立てることが重要です。
花屋開業までの流れ
花屋を開業する際には、明確なステップに沿って計画的に進めることが成功のカギとなります。コンセプトの確定から集客のための宣伝まで、一つ一つの段階を丁寧に進めていきましょう。
コンセプトやターゲットを決める
事業の成功のためには、初めに明確なコンセプトとターゲットの設定が必要です。コンセプトやターゲットをしっかりと設定することで、その後の事業展開の方向性が明確になり、計画的に進めることが可能となります。
どの層に、どんなメニューで、どのように販売していくのかを決めましょう。
事業計画の作成
事業計画を作成することで、ビジョンの実現に向けての具体的なステップや必要な資金、リスク等を明確にします。事業計画は、開業初期の方向性を示すだけでなく、資金調達の際にも必要となる重要な資料です。どれだけの開業資金で、どれくらい売り上げて、毎月どれくらいかかるのかなどを考えましょう。
開業資金の調達
十分な開業資金の確保は、スムーズな開業とその後の運営の安定のために不可欠です。開業初期の経費や、初動のためのマーケティング費用など、開業には予想以上の資金が必要となります。自己資金だけで難しい人も多いはずなので、先ほど説明した資金調達方法を試してみましょう。
立地調査と物件を探す
適切な立地で営業することは、花屋の成功を左右する重要な要素です。立地が良ければ自然な集客が期待でき、適切なターゲット層に商品やサービスを提供することが可能となります。理想の物件はすぐに見つからないので、早めに探しておきましょう。
内外装の改装工事を行う
店舗の内外装は、お客様の第一印象を左右します。清潔で、コンセプトを反映した店舗デザインは、お客様の信頼を得るために非常に重要です。
しかし、内外装の工事費は一番お金がかかるので、事前にしっかり予算を決めておきましょう。
仕入れルートを決める
安定した仕入れルートの確立は、常に良質な商品を提供するために必要です。仕入れ方法は主に以下の3つです。
・生産者
・仲卸業者
・花き市場
生産者と最初からつながるのは難しいです。花き市場は競りのことですが、参加するには事前登録や参加権が必要なので、開業直後はなかなか難しいです。
そのため、基本的には仲卸業者からになるでしょう。いつ、どれだけ、どのくらい仕入れるかはしっかり計画しておきましょう。
集客のために宣伝を行う
初動の集客のため、積極的な宣伝活動は不可欠です。新規のお客様に店舗の存在を知ってもらうため、宣伝は開業初期の重要なステップの一つです。HPの作成やSNS運用、チラシ配りなどがあります。SNSは費用がほとんどかからず、集客しやすいのでおすすめです。初期のころは、キャンペーンを積極的に行い、認知してもらいましょう。
花屋開業の3つの方法
花屋の開業方法は一つではありません。ご自身のライフスタイルや資金、ターゲットとなるお客様のニーズに応じて、最適な開業方法を選択することが大切です。ここでは、店舗での開業、自宅での開業、そしてオンラインでの開業という3つの方法を詳しくご紹介いたします。
店舗で開業する
最も一般的な形態であり、多くの顧客に直接サービスを提供することが可能です。店舗を持つことで、立地による集客効果や店内でのディスプレイを魅力的に演出することができます。また、顧客との直接のコミュニケーションをとることで、信頼関係を築くことができます。
自宅で開業する
初期投資を抑えながら、落ち着いた環境でビジネスを始めることができます。家賃や光熱費の削減、自宅を活用することでのリスク軽減など、経費を低く抑えることが可能です。
しかし、花屋向けにリフォームしたり、自分の思っている雰囲気に仕上げにくいというデメリットもあります。
オンラインで開業する
住んでいる地域関係なく、広範な顧客にアクセス可能な開業方法です。注文してから仕入れることやお客様1人1人にあったアレンジメントでの注文など実店舗がなくても開業できます。店舗とオンライン両方で販売する事業者も多いです。
ただ、物理的な店舗がないため初期投資を抑えられる一方、オンラインマーケティングの知識が求められます。
花屋開業で役立つ資格・スキル
花屋を開業する際、特定の資格は必須ではありませんが、いくつかの資格やスキルを持っていると事業の成功率を高めたり、お客様からの信頼を得やすくなるでしょう。以下で、花屋経営に役立つ資格やスキルについて詳しく解説します。
フラワーアレンジメントの資格
アレンジメント技術を証明し、お客様の信頼を得るための有効的な資格です。「NFDフラワーデザイナー」「フラワー装飾技能士」などがあります。フラワーアレンジメントの資格を持つことで、専門的な技術や知識を有していることをお客様に示すことができ、技術力や信頼性をアピールできる点が大きなメリットとなります。
色彩の資格
花の色や店舗デザインに関する専門的な知識を持つための資格です。「カラーコーディネーター検定」や「色彩検定」がおすすめです。色彩の資格を持つことで、花の組み合わせや色合わせをより魅力的にするための知識やセンスを身につけることができます。
販売や簿記の資格
経営管理や店舗運営に関する基本的な知識を身につけるための資格も持っておいた方がいいです。販売や簿記の知識は、日々の店舗運営や経営戦略を立てる上での基盤となるスキルです。
特に、経理や財務の管理は、ビジネスの安定や成長を支える要となります。「リテールマーケティング検定」(以前、販売士と呼ばれていた資格)や「簿記」がおすすめです。
まとめ
本記事では、花屋の開業について詳しく解説しました。
花屋は販売方法や開業方法もさまざまです。店舗に自分のこだわりを出しやすい一方で、品質管理や経営戦略はしっかり行わないと失敗につながりやすいです。
花屋を開業するメリット
・店舗に理想を反映しやすい
・経営戦略を工夫すれば高収入も狙える
・花屋は資格が不要で開業しやすい
花屋を開業するデメリット
・花の品質管理が難しい
・季節やイベントごとの販売が必要
・個人のお客様だけだと利益が上がらない
詳細は本文で解説しているので、花屋を開業したい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。