フランチャイズのパン屋の開業準備や資金・失敗しないコツを解説
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フランチャイズから独立・足抜けはできる?解約金や違約金発生ケースを解説
フランチャイズで開業したが、思うような結果出ずに辞めてしまいたいと悩んでいる人もいるでしょう。しかし、違約金を高額請求されないように、契約内容や違約金について理解しておく必要があります。
この記事ではフランチャイズから独立・足抜けする前の確認事項や解約金や違約金について解説します。
この記事の目次
フランチャイズからの独立・足抜けとは?
フランチャイズからの独立・足抜けとは、フランチャイズ加盟店がフランチャイズ契約を解約して辞めることです。
足抜けとは、前借り金の清算をせずに逃げることを意味しており、遊郭で主に使用されていた言葉です。
フランチャイズからの足抜けにはさまざまな理由があります。理由として多いのが、経済的な困難や経営上の問題、または契約違反などです。
例えば、景気の変動による売上の低下や、本部との意見の相違による対立、あるいは市場の変化に適応できないといった状況が挙げられます。
フランチャイズから足抜けをすると、訴訟や契約違反の問題が生じる可能性があります。
また、フランチャイズ契約には一定の期間や条件が設けられていることが一般的であり、その条件に違反することで違約金の支払いなどのリスクがあります。
一方、フランチャイズ本部としては足抜けされてしまうと、今後の収益が望めないので避けたいところです。
つまり、足抜けは双方ともにデメリットが大きいので、契約前から事業の持続性をしっかり検討しておくことが重要です。
フランチャイズから独立・足抜けする前に契約内容を確認
フランチャイズ契約を解約する前に、重要な契約内容を確認することが不可欠です。内容を確認しておかないと重要なトラブルに発展する可能性があります。以下はそのポイントです。
解約前の事前通知義務
一般的に、フランチャイズ契約では、事業者が契約を解除する際に一定の事前通知義務が課されます。
通常、これは3ヶ月前から半年前など、契約書で定められた期間が設けられています。
もし通知義務の約束を守らなければ、本部の利益に大きな損害を与えてしまう可能性があるので、注意が必要です。
この通知期間を遵守することで、本部や他の関係者に対して適切な準備期間を与えることができます。
解約禁止期間
一部のフランチャイズ契約では、解約禁止期間が設けられていることがあります。
これは、契約締結後、一定期間内は解約が禁止されるというものです。
解約禁止期間がある場合、加盟店はその期間内に契約を解除することができません。理由としては、短期で解約してしまうと本部側に大きな損害が被ってしまうためです。
このため、契約期間や解約禁止期間を事前に確認しておくことが重要です。
解約金の支払い条件
フランチャイズ契約を解除する場合、解約金の支払い条件も重要な要素です。
解約金は契約書に明記されており、一定の金額や売上の一部、解約までの残り期間のロイヤリティなど本部によって様々な計算方法があります。
解約金の支払い条件や金額を事前に把握し、準備することが重要です。
競業避止義務
フランチャイズ契約には、競業避止義務が含まれている場合がほとんどです。
これは、契約解除後一定期間内に同業で独立したり、競合する事業を行うことが禁止されるというものです。
期間は様々ですが、数カ月から長くて3年ほどの可能性もあります。競業避止義務の期間や範囲を理解し、適切に対処することが重要です。
フランチャイズ契約の解約方法
フランチャイズ契約を解除する方法には、基本的に「契約終了」「任意解約」「合意解約」「契約解除」の4つの方法があります。それぞれの方法には特定の手続きや条件があるので、順番に解説していきます。
契約終了
契約終了は、解約方法で一番理想的な方法です。
フランチャイズ契約では、一定の契約期間が定められているので、その契約期間の時期に更新するか解約するかを決めることができます。
例えば、契約期間が5年間であれば、その5年間が経過すると契約を更新するか解約するかを決めることができます。
ただし、契約が自動更新になっている企業の場合、こちらから解約の旨を伝えないと勝手に契約が更新されるので注意が必要です。
そのため、契約期間をしっかりと把握しておきましょう。
そして、契約終了の場合は違約金が発生しないのも特徴です。
任意解約
任意解約は、加盟店が自らの意思で契約を解除する方法です。これは、契約期間の途中で解約する方法で、解約の中で一番多い方法です。
例えば、加盟店が経営上の理由や個人的な事情により、契約を解除したい場合に選択されます。
ただし、契約内容に中途解約に関しての内容が記載されていない場合は、次に説明する合意契約に当てはまります。
合意解約
合意解約は、フランチャイズ本部と加盟店が互いの合意のもとで契約期間中であっても契約を解除する方法です。
この場合、双方が解約に同意する必要があります。例えば、事業者が経営上の問題に直面し、本部と話し合って解約することが合意される場合などです。
合意解約は中途解約の内容が契約内容に記載されていない場合に締結されます。
合意解約は解約条件などを双方で話し合い、納得いく条件で解約できるので、違約金もかからないことが一般的です。
ただし、契約を解除するのに正当な理由が必要となり、日々の経営にしっかり取り組んでいる必要があります。
契約解除
契約解除は、契約の違反や違法行為があった場合に、フランチャイズ本部が一方的に契約を解除する方法です。
契約解除には、フランチャイズ契約で定められた解除である約定解除と法律で定められた解除である法定解除の2つあります。
ただし、フランチャイズ契約で長期的に関係性を築いていた場合、少しの違反程度では契約解除にならないこともあります。
仮に、契約解除の通達を受けて加盟店側が納得いかない場合は、裁判で争うことも可能です。
解約で必要な2つの違約金
解約をする場合に違約金が発生する場合があります。違約金には、中途解約での違約金と契約終了後の違約金の2つがあります。
それぞれの違約金には異なるポイントがありますが、どちらも契約解除時に支払う必要があります。
中途解約での違約金
まず、中途解約での違約金は、契約期間の途中で解約する場合に発生します。
これは、フランチャイズ契約においては一般的な条件です。中途解約での違約金は、契約書に明記されています。例えば、契約期間が3年間で、2年目で中途解約する場合、残りの1年分に相当する違約金が発生する可能性があります。
ただし、違約金についてはフランチャイズ本部によって自由に決定されているので、契約時に注意が必要です。
契約終了後の違約金
2つ目の契約終了後の違約金は、契約期間が満了して解約した後に発生する可能性があるものです。
契約終了後の違約金は、競業避止義務や営業秘密の保護、商標権の侵害など、解約後にも続く義務を遵守するために設定されます。
この違約金は、契約終了後に新たな競合店や同業店を開店したり、顧客情報を漏洩させたり、フランチャイズ企業の名前を勝手に濫用したりした場合に対象となります。
これらの違約金は、事業者にとって重要な費用です。中途解約での違約金は、契約期間中のリスクを考慮して事前に確認しておくことが重要です。
また、契約終了後も契約違反にならないように同様に注意しておきましょう。
中途解約で違約金が必要ないケース
中途解約する場合、通常は契約違反のために違約金が発生しますが、一部のケースでは違約金が必要ない場合もあります。ここでは、そのようなケースについて考えてみましょう。
違約金が必要ないのは、契約違反がフランチャイズ本部側によるものである場合です。
例えば、本部が契約で義務付けられている支援やサービスを提供せず、加盟店に対する契約違反を犯した場合、加盟店は違約金を支払う必要がないかもしれません。これは、契約違反の責任が本部にあるためです。
また、先ほど紹介した合意解約の場合も違約金が必要ありません。
中途解約で違約金が減額されるようなケース
中途解約に際しては契約違反のために違約金が発生します。しかし、「優越的地位の濫用」や「高額すぎる違約金」などが発覚した場合、違約金が減額される可能性もあります。
ここでは、それぞれのケースについて詳しく見ていきます。
優越的地位の濫用
優越的地位の濫用とは、一方の取引相手が市場において支配的な地位を持ち、それを不当に利用して他の取引相手を不利にすることです。
例えば、正当な理由がないのに取引先を制限する、返品できないのに必要以上の仕入れを強要するなどです。
このような状況では、契約解除時に違約金が減額される可能性があります。
実際、当初800万円の違約金を命じられていたものの、優越的地位の濫用が発覚して、30万円にまで違約金が減額されたケースもあります。
高額すぎる違約金
次に、高額すぎる違約金が設定されている場合も違約金が減額されるケースもあります。
契約解除時に支払うべき違約金が、契約の内容や市場価値と比べて極端に高額である場合、それが不合理であると見なされることがあるのです。
例えば、契約解除時に支払うべき違約金が、事業者にとって不当な負担となるような額である場合、裁判所は違約金の減額を命じる可能性があります。
これらのケースでは、契約解除時の違約金が減額される可能性があります。
具体的な状況や契約内容によって異なるため、加盟店側は不当だと感じた場合、専門家に相談することが大事です。
まとめ
本記事では、フランチャイズからの独立・足抜けについて詳しく解説しました。
フランチャイズの契約期間中であっても、契約を解除することはできます。しかし、状況や条件によっては違約金が発生するので、契約解除の前に確認しておきましょう。
違約金はフランチャイズ本部によって設定がバラバラですが、あまりに高額すぎる場合は減額できる場合もあります。
フランチャイズから独立・足抜けする前に契約内容を確認
・解約前の事前通知義務
・解約禁止期間
・解約金の支払い条件
・競業避止義務
・フランチャイズ契約の解約方法
・契約終了
・任意解約
・合意解約
・契約解除
詳細は本文で解説しているので、フランチャイズからの独立・足抜けについて知りたい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。