ラーメン屋の開業資金はいくら必要?開業の準備や資金調達の方法まで解説
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焼き鳥屋を開業するための方法は?開業資金や成功させるためのコツを解説
焼き鳥屋は競合店舗も多く、簡単に稼げる業界ではないですが、しっかりした計画やマーケティングを行うことで、成功のチャンスはあります。この記事では、焼き鳥屋の開業方法や開業資金、成功させるためのコツについて解説します。焼き鳥屋の開業に興味がある方は参考にしてください。
この記事の目次
焼き鳥屋の開業の準備や手順
焼き鳥屋の開業には必要な準備や手順があります。以下で詳細にお伝えします。
市場や競合の調査
成功する焼き鳥屋を開業するためには、市場や競合の調査が不可欠です。日本の飲食店業界は競争が激しいです。経済産業省のデータによれば、新規開業率と廃業率は近い値を示しており、短期間で閉店している店もたくさんあります。
これを避けるためには、他の店との差別化や開業地域の競合店の数や種類も調査する必要があります。
具体的な事業計画の作成
事前の計画が明確であればあるほど、事業の成功確率は高まります。日本政策金融公庫の調査によれば、事前にビジネスプランを具体的に作成している企業の方が、5年以内の継続率が高いとされています。
どのようなコンセプトにするのか、何を売りにアピールするのか、そのためにはどれだけの資金とスタッフが必要なのかなど、決定事項は多いです。事業計画は、目標達成の指針となり、業績向上のためのしっかり作成しましょう。
資金の準備
適切な資金計画と確保は、事業の存続と成長の鍵です。多くの廃業の原因として「資金繰りの悪化」が挙げられています。後ほど紹介しますが、飲食店の開業には500万円以上の費用がかかるので、すぐに集められる金額ではありません。
また、自分1人で用意できる方もそう多くはないはずなので、事前にどこから借りるのか、どれくらいの返済が必要なのかを逆算しておきましょう。
物件探しや資格取得
適切な物件を探すことは、店舗が成功できるかの大きな要因です。立地条件の良さは飲食店の集客に直結します。
また、店舗の広さや間取りはお客様満足度や、毎月の家賃にも大きな影響が出ます。自分がどのような焼き鳥屋を目指すのか、どれくらい家賃に資金を費やすのかなど事前に確認は必須です。
資格に関しては後ほど紹介しますが、以下のような資格が必要です。
・食料品衛生責任者
・飲食店営業許可
・防火管理者
そもそも資格がないと営業ができないので、自分が取得するのか、スタッフに取得してもらうのか決めましょう。また、調理師免許は必須の資格ではありませんが、お客様に安心感を与えることができ、よりおいしい料理を提供できるはずなので、余裕があれば取得しましょう。
スタッフの採用と教育
良いスタッフの採用と教育は、店舗の品質とサービス向上の鍵です。スタッフの接客態度や知識は顧客のリピート率にも大きく影響します。自分でスタッフを教育できる場合は良いですが、できない場合は外部のプロの研修やスクールに通ってもらい教育しましょう。
また、フランチャイズで開業する場合、本部からの教育サポートがあるので、安心です。料理の味と同じように接客態度がお客様に満足度にはつながるので、何かしらの方法でしっかり教育しましょう。
焼き鳥屋を開業するメリット
焼き鳥屋を開業するメリットについてお伝えします。
常に需要がある
焼き鳥は、時代やトレンドに関わらず日本人に愛される食文化の一つです。お酒との相性も良く、居酒屋のような感じでお客様が来店されます。お客様の年齢層も幅広く、1人より複数人での来客が多いので、様々な場面で利用される飲食店の1つです。
つまり、一定以上の信頼を得ることができれば、焼き鳥屋の変わらぬ人気を背景に安定した経営が期待できるジャンルと言えます。
原価が低くアルコールで稼げる
焼き鳥とアルコールは高い利益率を持つ組み合わせです。なぜなら、焼き鳥の材料費は比較的低く、アルコールの利益率は飲食業界でも高い部類に入るからです。
焼き鳥は串ごとにゆっくり楽しめる食べ物なので、それと同じペースでお酒を頼む人は多く、「肉の中でも原価が安い鶏肉」×「原価の安いアルコール」の組み合わせで長期的に成功をしやすくなります。
メニューと調理がシンプルで店を回しやすい
焼き鳥屋の運営は、他のジャンルに比べてシンプルかつ効率的です。
なぜなら、焼き鳥の調理方法やメニュー構築は比較的シンプルで、特別な技術や多くの種類の食材が必要ないため、店舗の運営がスムーズになるからです。サイドメニューや特別メニューは種類によって時間かかりますが、あくまで焼き鳥がメインなので、居酒屋に比べると営業しやすくなります。
また、早く調理を提供し、早く店舗を回転させることができるので、売り上げを上げやすいです。つまり、焼き鳥屋は、シンプルなメニューと調理法により、効率的な店舗運営が可能なので、経験者でなくても挑戦しやすいでしょう。
比較的初期費用を抑えやすい
焼き鳥屋の開業は、他の飲食業種と比べて低い初期投資で始められる場合が多いです。理由は、以下の通りです。
・店舗が小規模でも開業が可能
・設備投資が比較的少ない
・材料費の減価が安い
焼き鳥屋はカウンターの席が多い店舗でも十分開業可能で、テーブル席を用意してもそこまでの広さがなくても大丈夫です。また、特別なコンセプトやこだわりがない限り、凝った内装工事も不要なので、安く済みます。材料費は先ほどお伝えした通り、安く仕入れることができます。
つまり、焼き鳥屋は、総規模でシンプルな設備と内装での開業が可能であり、初期投資を低く抑えることができます。
焼き鳥屋を開業するデメリット
焼き鳥屋を開業するデメリットについてお伝えします。
競合が多い
焼き鳥屋は、高い人気を背景に多くの店舗が存在しており、競合店舗が多いです。
なぜなら、焼き鳥は調理もそこまで難しくない分、参入障壁が低く、常に開業の候補の高い位置にいるからです。また、アルコールを求める客層が多い焼き鳥屋は、ライバルが焼き鳥屋以外の居酒屋、バル、韓国料理屋などお酒の提供する店となります。
つまり、焼き鳥屋の開業は、多数の競合店との差別化や独自性を持つことが求められ、それが大きな課題となります。
店舗の立地が悪いと儲からない
焼き鳥屋の成功には、良い立地が非常に重要です。飲食店の集客には、立地が大きく関わっています。アクセスの良さや人通りの多さが、直接的に売上に影響します。サラリーマンやOL、飲み会を開く学生などがよく行き交うエリアでの出店が望ましいです。
しかし、そのようなエリアは当然、物件取得費や家賃が高いことがほとんどです。つまり、焼き鳥屋の開業には、立地条件と資金管理が非常に重要で、そのための市場調査や競合調査を抜かりなく行う必要があります。
焼き鳥屋の開業資金と運営資金
焼き鳥屋を開業するのに、開業資金と運営資金が必要です。以下ではそれくらい必要なのかをお伝えします。
開業資金
焼き鳥屋の開業費は、約500~1,000万円と言われています。立地や店舗の広さによっても変わります。
以下は、30坪前後の店舗での予算です。
項目 | 資金 |
物件取得費 | 300~600万円 |
内外装工事費 | 100~150万円 |
設備費 | 20~50万円 |
備品購入費 | 30~50万円 |
広告宣伝費 | 50~150万円 |
合計 | 500~1,000万円 |
開業に大きくかかるコストが物件取得費と内外装工事費です。こちらは店舗の規模によっても変わります。例えば、居ぬき物件を見つけることができれば、数百万円のコストを削減できるでしょう。
また、カウンターのみの10坪ほどの店舗で開業すると、コストを抑えることができます。しかし、煙が出る商売なので、店舗が小さすぎると煙たくなるリスクもあります。
運営資金
焼き鳥屋の毎月の運営費は、約250~300万円と言われています。立地や店舗の広さによっても変わります。
以下は、30坪前後の店舗での予算です。
項目 | 資金 |
人件費 | 100万円 |
家賃 | 30~40万円 |
原材料費 | 100~120万円 |
水道光熱費 | 20~30万円 |
広告宣伝費 | 10万円 |
合計 | 260~300万円 |
人件費は、大体30%ほどが目安となります。正社員ではなくアルバイトを雇ったり、オーナーも店舗に出て働くことがコストカットできます。
家賃は、小規模店舗だと7%前後、大きめの店舗でも10%以内には抑えたいです。
原材料費は、30%前後が目安となります。直接食品を卸してくれる業者とつながることで、安くすることができます。
焼き鳥屋を開業するための資金調達方法
焼き鳥屋を開業するのに資金調達を行う必要があります。以下でその方法を4つ紹介します。
金融機関からの融資
多くの場合、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることができます。しかし、審査は少し厳しめで、自己資金が求められることも多いので、初めての開業の方は審査に落ちることもよくあります。
信用保証付き融資…借主の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行う融資制度。その代わり、所定の信用保証料の支払いが義務である。
プロパー融資…保証人なしで自分で100%の責任を負う融資で、審査が厳しくなりやすい
金融機関の融資は上記のような制度があり、自分に合ったものを選びましょう。フランチャイズで開業する場合は、融資に関してもサポートしてくれる本部が多いので、審査に通りやすくなります。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫での融資は、初めての人も審査が通りやすくおすすめです。
「新創業融資制度」…新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした保証人や担保なしで上限3,000万円の融資制度
「新規開業資金」…新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした、保証人や担保なしで最大7,200万円の融資制度
上記のような制度があり、金融機関の融資が通らなかった方や低金利でお金を借りたい方はおすすめです。
創業補助金・助成金の活用
一部の地域では、新しいビジネスをサポートするために補助金や助成金が提供されています。これは、特定の条件を満たす場合に受けられる資金です。
メリット: 補助金や助成金は、開業費用の一部をカバーするための貴重な支援です。条件に合致する場合、返済の必要がないことが多いです。
デメリット: 補助金や助成金は競争率が高いことがあるため、受給するまでに時間がかかることがあります。また、一部のプログラムには厳格な条件が設定されていることもあります。
家族や知人から借りる
家族や友人からお金を借りる方法もあります。これは、信頼関係がある人から資金を調達することです。
メリット: 低金利または無利子で借りることができる場合があり、返済条件が柔軟であることが多いです。信頼できる人からの借入は、ビジネスの成功に向けて力強いサポートとなることがあります。
デメリット: お金を借りることは、関係を悪くする可能性があるため、注意が必要です。また、お金を返済する責任がありますので、返済計画をしっかりと立てることが重要です。
焼き鳥屋を開業するために必要な資格
焼き鳥屋を開業するためには、取得しないといけない資格があります。以下で紹介していきます。
食料品衛生責任者
飲食店に1人以上は在籍していないといけない国家資格です。オーナーが自分で取得するか、従業員に取ってもらうか、資格保有者を雇うことが必要です。各都道府県で行われている講習を受講終了して、保健所に申請することで資格を取得できます。または、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している方は、保健所に申請するだけで大丈夫です。
飲食店営業許可
飲食店を営業するためには、飲食店営業許可を保健所に申請する必要があります。申請の前に食品衛生責任者を取得しておかないといけませんので、早めに準備しておきましょう。申請後、間取りや立ち入り検査等での審査が通れば、無事許可証が交付されます。
防火管理者
収容人数が30人以上の規模の飲食店を開業するときにのみ、防火管理者を設置しないといけません。従業員を含めた人数です。施設の延べ面積が300㎡以上の場合、甲種防火管理者(2日間で約10時間で8,000円の講習)の資格が必要です。逆に、施設の延べ面積が300㎡未満の場合、乙種防火管理者(1日約5時間で7,000円の講習)の資格が必要です。
焼き鳥屋の多様な経営スタイル
焼き鳥屋は様々な経営スタイルで提供されています。焼き鳥屋の経営スタイルは、店舗での営業、キッチンカーなどの移動営業、そしてフランチャイズ経営といった3つの主要なカテゴリーに分けられます。今回は、これらの異なるスタイルについて詳しく見ていきましょう。
店舗で営業
焼き鳥屋の店舗での営業は、最も一般的かつ伝統的な形態です。このスタイルでは、固定の場所にお店を構え、お客様が来店し、料理を楽しむことができます。リピーターも作りやすく、しっかり立地に店舗を構えることで安定した経営ができるでしょう。
立地は駅前や繫華街などのアクセスが良いところが良いですが、その分賃料や人件費もかかるので、予想される売り上げとのバランスを見て考えましょう。
キッチンカーなどの移動営業
移動営業は、焼き鳥を提供する別の魅力的な方法です。キッチンカーやフードトラックを使用して、焼き鳥をさまざまな場所に持ち運び、お客様に提供します。
これは、イベント、フェスティバル、ストリートフードフェア、または繁忙した街中などで非常に効果的です。キッチンカーの柔軟性により、新しい顧客層にアクセスでき、異なる地域やイベントで人気を集めることが可能です。
しかし、店舗と同じく保健所からの許可を得て営業する必要があるので、基準を満たし形で営業しましょう。
フランチャイズ経営
フランチャイズ契約すると、成功しているビジネスモデルで経営ができ、サポートも受けることができるので、はじめての人にはおすすめです。最初から一定の集客が望め、スタッフの教育や経営などのサポートが入ります。
しかし、フランチャイズ加盟金やロイヤリティ(毎月売り上げに対して本部への支払い)が発生することを覚えておきましょう。また、フランチャイズ本部の制約もあり、完全に自由に経営できるわけではないので、自分のこだわりを強く持って営業したい方には向いてないかもしれません。
焼き鳥屋の開業を成功させるためのコツ
焼き鳥屋を開業して上手くいくためのコツを解説します。
競合との差別化を図る
焼き鳥屋の成功の鍵は、他店との差別化にあります。焼き鳥屋は全国的に数多く存在し、類似したサービスやメニューが多いため、独自性を持つことが顧客のリピート率を高める要因となります。
例えば、
・とにかく安く食べれて飲める店
・上質なお肉を使いデートでも使えるようなお店
・写真映えするような料理を提供できるお店
・月額制のサブスクサービスのお店
・テイクアウトやウーバーイーツもできるお店
などです。
お店を出す地域の雰囲気や特性を考慮して、他店との差別化を明確にすることが不可欠です。
集客しやすい立地を選ぶ
焼き鳥屋の売上には、アクセスの良さや人通りの多い立地がとても影響します。特に焼き鳥屋は、夜の食事や飲み物を提供する店舗が多いため、繁華街や駅近などの集客しやすい立地が重要となります。
例えば、ビジネス街だと、仕事帰りのサラリーマンやOLがターゲットになでしょう。ランチ営業や弁当販売も行うと昼間のサラリーマンやOLの集客も望めます。
繁華街だと、若者が多いが、休日は幅広い年齢層の方をターゲットに集客できます。しかし、初期費用や家賃が高いので、しっかりした調査が必要です。
高い集客力を確保するためには、焼き鳥屋の立地選びが非常に重要です。また、ターゲットに合わせたメニューや価格設定も重要になってきます。
SNSでの集客をする
SNSの活用は、現代の焼き鳥屋集客の強力な手段となっています。現代の消費者は、SNSを情報収集の手段として利用する傾向が強く、特にインスタグラムでお店を探すことが当たり前になってきています。
そのため、写真の投稿方法やSNSのマーケティング方法が重要です。時にはインフルエンサーに広告を依頼して、宣伝してもらうことも効果的です。
見栄え良くおいしい調理技術を磨く
焼き鳥屋の成功には、高い調理技術と美味しさが求められます。店舗が多すぎることで、料理の味がいまいちだと淘汰されていきます。結局は、味が一番大事ということも多いからです。同じ素材(原価が安い材料)でも、焼き方や調理法で味は変わってくるので、調理の技術を磨きましょう。
そうすることで、「安いのにおいしい」とお客様が感じられ、コスパの良い店としてリピーターも増えるでしょう。
まとめ
本記事では、焼き鳥屋の開業について詳しく解説しました。
焼き鳥屋は競合が多い店舗なので、なんの計画もしないで開業してしまうと失敗してしまうでしょう。しかし、焼き鳥屋で成功している店舗もたくさんあるので、しっかりしたビジョンやマーケティング、差別化ができればチャンスはあります。
焼き鳥屋を開業するメリット
・常に需要がある
・原価が低くアルコールで稼げる
・メニューと調理がシンプルで店を回しやすい
・比較的初期費用を抑えやすい
焼き鳥屋の開業を成功させるためのコツ
・競合との差別化を図る
・集客しやすい立地を選ぶ
・SNSでの集客をする
・見栄え良くおいしい調理技術を磨く
詳細は本文で解説しているので、焼き鳥屋を開業したい方は参考にしてください。
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この記事の執筆者
フランチャイズ支援歴10年
松田 和也
大阪大学人間科学部卒業後、大手フランチャイズ本部の加盟開発担当として新卒入社。その後SVとして10年間従事し、フランチャイズオーナーの経営指導に携わる。過去100名以上のフランチャイズオーナーを支援し、撤退率3%以下の実績を持つ。2022年1月にいくらやフランチャイズ立ち上げメンバーとして参画。